愛知民報

【18.02.11】問題だらけ ストップ!リニア 沿線住民が反対運動

 安倍政権が後押しするJR東海のリニア中央新幹線建設計画。公的資金3兆円が投入されるもと、ばく大な国民負担、環境破壊、電力浪費、ゼネコン巨額談合事件など重大問題が噴出。計画沿線住民が「ストップ・リニア」訴訟をおこしています。愛知県内で指摘されているリニア計画の問題点をまとめました。

春日井市 坂下非常口 深夜3時まで作業

 愛知県内は、名古屋駅周辺を除いて地下40㍍より深い大深度地下トンネルです。非常口(立坑)から建設機械の出し入れや土砂の排出がおこなわれます。非常口は開業後、緊急脱出口になります。
 県内では名城非常口(名古屋市中区)と坂下非常口(春日井市)が建設中。工期優先の工事が強行されています。
 名城非常口は国や県、名古屋市の機関が集まる官庁街で隣は病院です。ダンプは最大1日200台予定。
 坂下非常口の周辺は住宅街。作業時間は朝8時から深夜3時まで。ダンプは最大1日140台。生コン打設作業時は1日600台の生コン車が集中します。

坂下非常口

地盤沈下、土壌汚染の恐れ

 リニア新幹線のトンネルが通過する春日井市内の地下には、太平洋戦争前後の時期に採掘された亜炭(低質の石炭)の坑道跡が縦横に張り巡らされています。同市内ではしばしば陥没事故が発生。2015年2月にはリニア路線から120メートルにある児童公園で陥没が起きました。
 「春日井リニアを問う会」の川本正彦さんは、「坑道の中は地下水が充満して地盤を支えているといわれています。トンネル工事や列車の走行の振動で水が抜ければ陥没が起きるのでは」と指摘しています。
 土壌汚染も心配されています。元愛知県公害調査センター職員の大沼淳一さんは、保守基地が設置される予定の西尾(さいお)非常口周辺に分布する「美濃帯」と呼ばれる岩石について、「掘り起こされ、砕かれ、水に触れると主成分の黄鉄鉱と酸素と水が反応し強い酸性の硫酸が生成する。硫酸は土壌中の重金属を溶かし出し深刻な水質汚染・土壌汚染が発生する危険がある」と警告しています。

西尾非常口工事ヤード

住宅地を通って土砂搬出

 坂下非常口(春日井市)から発生する10万立方㍍の土砂は、通称「瀬戸グランドキャニオン」と呼ばれる瀬戸市内の珪砂(けいしゃ)鉱山跡地の埋め戻しに使われます。JRが明らかにしている坂下非常口から鉱山跡地までのダンプカーの走行ルートは春日井市内は、国道155号線と高蔵寺ニュータウンに沿った県道で、ともに住宅地です。瀬戸市内でも住宅や学校、商業施設近くを走るため、交通事故の発生や渋滞の悪化が心配されています。