愛知民報

【16.11.13】リニア新幹線 “未来への投資”どころか “未来への浪費” 中止求め学習交流会 事業費膨張 環境破壊の危険

 
 JR東海が2027年度に品川―名古屋間の開業をめざすリニア中央新幹線計画に、沿線住民から生活環境の破壊を懸念する声が上がっています。安倍自公政権は?国家プロジェクト?として2年で3兆円の公的資金を低利でJRに貸し付ける予定ですが、採算が取れる見込みはありません。「?未来への投資?だというが?未来への浪費?」にほかなりません(10月19日衆院内閣委員会での島津幸広衆院議員の質問)。日本共産党愛知県委員会は6日名古屋市内でリニア学習交流会を開き、本村伸子衆院議員(衆院国土交通委員)が国会報告。リニア新幹線計画の中止を求めました。

本村伸子衆院議員が報告

 本村議員は、リニアへの公的資金投入(財政投融資=財投)をめぐり、財務省がリニア新幹線の建設費の根拠、過大な需要予測を精査していないことを指摘。リニアの事業費が膨れ上がる問題を追及した質問に、麻生太郎財務相が事実上認める発言をしたことを紹介。「無責任。辞任に値する」と批判しました。
 本村議員は、国土交通省が政府の財投活用で、JR東海の負担が約5000億円減らせるという試算を明らかにしたことに触れ、「2014年に認可された工事実施計画は『全額自己負担』が前提だったはず。前提が崩れた認可は取り消すべきだ」と迫りました。
 学習交流会で本村議員は「まだ本格的工事はほとんど行われていない」と指摘。沿線から反対の声を上げていくことを呼びかけました。
 JR東海と国の鉄道・運輸機構が発注した工事は全線で15カ所に過ぎず、トンネル掘削残土の運搬先が正式に決まっているのは26%にすぎません。
 「中村リニアを考える会」の鳥居勝さんはJRと名古屋市まちづくり公社による強引な土地買収交渉を批判。「瀬戸リニアを考える会」の花田英夫さんは瀬戸の鉱山跡地への土砂搬入車両による環境破壊に懸念を表明。「春日井リニアを問う会」の川本正彦さんは残土が発生する同市内に建設される坂下非常口周辺の状況を報告。「リニアを考える愛知連絡会」の臼井泰紀さんは広く県民に周知する決意を語りました。

 

愛知でも問題だらけ

●名古屋駅周辺でJRは「建設ありき」で立ち退きを迫っている。用地取得の事務をおこなっている名古屋市まちづくり公社は言いなり。
●名古屋駅や非常口で発生する土砂の処分先や運搬ルートが決まらないまま、工事説明会を強行し着工。
●瀬戸市の鉱山跡地がナゴヤドーム9杯分の残土置き場に。大量のダンプカーによる騒音・振動・交通渋滞など深刻な環境破壊のおそれ。

JR 名城非常口工事強行 市民ネットが抗議宣伝

 
 JR東海は7日、リニア中央新幹線の「名城非常口」(名古屋市中区三の丸)の工事の安全祈願式をおこないました。
 名城非常口は、直径約40?、深さ約90?の円柱形の立て坑。名古屋法務局など国の機関が入る合同庁舎の西隣にある名城東小公園跡地に設けられます。トンネルを掘削する機械の出し入れや、掘削した土砂の搬出拠点になります。ピーク時には1日200台のダンプが出入りする見込み。周辺道路では車両走行による騒音・振動や交通渋滞など環境悪化が懸念されています。JRは同非常口で発生する残土の搬出先を明らかにしていません。
 名城非常口では今年6月、敷地内のサンプル土壌から基準値を上回る鉛が検出されたことが判明しています。
 リニア新幹線に反対する「リニア市民ネット」は同日、名古屋市役所前で抗議宣伝をおこない、小林収代表らが「住民の疑問と不安に答えないまま着工するJRの姿勢に納得がいかない」と訴えました(写真)。
 日本共産党の大野ひろみつ衆院愛知1区予定候補、わしの恵子愛知県議、名古屋市議団が参加しました。