愛知民報

【16.11.13】看護職場の残業実効規制を 県内すべて病院の実態把握を要求

 愛知県医療介護福祉労働組合連合会(愛知県医労連)は10月24日に県庁で開いた記者会見で、加盟労組がある41病院の特別条項を含む36協定の内容を報告しました。林信悟書記長は、労働時間の規制強化とともに、看護職員の抜本増員、県内すべての病院の実態把握を訴えました。

県医労連が調査結果発表

 今回の調査によると、厚生労働省が定める特別条項付き36協定を締結している病院は25院。そのうち過労死ラインの月80時間を超えるのは16院でした。
 最長は1カ月150時間で2院、100時間が2院、90時間が2院、80時間が8院でした。
 看護協会が2008年におこなった緊急実態調査は、2万人の看護師が月60時間以上の交代制労働者の過労死危険レベルで働いていると報告しています。
 林氏は「医療従事者の過労死・過労自殺者を出さないためにも、法的に罰則がある労働時間の上限規制が必要」と訴えました。
 2014年に施行された医療法は、都道府県が勤務環境改善のために医療機関を支援することを義務付けています。林氏は愛知県と愛知労働局に対し、県内320の病院の労働時間管理の全容把握を求めると述べました。
 会見に同席した豊橋市民病院の看護師・中川智晴さんは「手術が立て込むと24時間連続勤務になる。医療ミスをしないか心配」と語りました。

大須の繁華街でデモ ドクター・介護・ナースウェーブ

 
 「ドクター・ナース・介護ウェーブ」デモが10月29日、名古屋市中区でおこなわれ、安全・安心の医療・介護、患者の負担軽減、医師・看護師・介護職員の大幅増員、国の責任での社会保障制度の充実を求めました。
 愛知県医療介護福祉労働組合連合会、愛知県民主医療機関連合会(愛知民医連)などでつくる実行委員会が主催。白衣姿の看護師や介護職員ら約70人が参加しました。
 出発前の集会で西野ルミ子県医労連委員長は「心身ともに健康で働き続けられることが患者・利用者の安心につながる」と訴えました。参加者から「介護職員の欠員が埋まらない。人員のやりくりをしている」(老人保健施設)、「欠員が慢性化し、職員の半分以上が月に9回以上の夜勤をこなしている」(自治体病院)などの実態が報告されました。
 集会は大須の繁華街を「安心できる医療がしたい」「ゆとりを持って介護がしたい」などと訴えながら行進。デパート前宣伝では、夜勤交代制労働の改善を求める国会請願署名約300人分が集まりました。

36(さぶろく)協定

 労働基準法36条にもとづく時間外労働に関する労使協定。1日8時間、週40時間の法定労働時間を超える時間外労働を命じる場合、労組と協定を結び労働基準監督署への届出が義務づけられている。特別条項付き協定なら36協定限度時間をさらに超えることができる。

退職者の半数が20代 県立病院 わしの県議が指摘

 日本共産党の、わしの恵子愛知県議は10月19日の愛知県議会公営企業会計決算特別委員会で、県立病院の看護師の労働環境改善を求めました。
 同議員は、2014年に退職した看護師106人のうち定年まで勤めたのは4人、翌15年は89人のうち7人にすぎず、20代の退職者が両年合わせて半数の94人にのぼることを指摘。
 人員確保に力を入れ、若い女性医師・看護師が働き続けられるよう院内保育所を充実させることを要求しました。