愛知民報

【16.09.18】駅ホーム転落防止ドア設置急務 視覚障がい者 「本当に怖い」 すやま初美さん 金山駅を調査

 
 乗客が駅ホームから線路に転落したり、列車と接触する事故が相次いでいます。2014年度の転落件数は3673件(国交省調べ)。国交省は11年、利用者が1日10万人以上の駅に線路とホームを物理的に遮断するホームドアを設置する方針を示しました。しかし、愛知県内で10万人を超すJR名古屋(在来線)、金山両駅は未設置です。日本共産党の、すやま初美愛知県常任委員は9日、視覚障がい者らと金山駅を調査。「国や鉄道事業者に設置を働きかけたい」と語りました。

狭くて危険

 「駅のプラットホームで自分が向いている方向が分からなくなったら本当に怖い」と言うのは愛知視覚障害者協議会(愛視協)の梅尾朱美さん(66)。同会は安全な駅のホーム実現を繰り返し鉄道事業者に求めてきました。
 梅尾さんは「よく利用するのは金山駅。地下鉄、JR、名鉄の乗り場が近く、歩く距離が短いから。名古屋駅は広すぎて歩き回るのは無理。金山駅の安全対策を求めたい」と話します。
 今回調査した金山駅の東海道本線ホームはカーブしているうえに、階段横の通路が狭く、混雑すると特に危険。5―10分置きに発着する普通列車、快速列車の他にも通過列車があります。調査中にも回送列車が走り抜けていきました。
 梅尾さんは「1990年代に神戸・三宮駅と神戸港を結ぶ神戸新交通に乗った時にホームドアに出会い感動しました。以来、普及の運動を進めてきました」と語ります。
 

点字で要望提出

 愛視協は、JR東海、名鉄、近鉄、名古屋市交通局にたいし、ホームドア設置を求める点字の予防書を提出してきました。梅尾さんは「JR東海の対応が悪い。要望書を受け取ろうともしない。リニア新幹線には熱心なのにおかしい」と怒ります。
 JR東海は東海道新幹線の「のぞみ」停車駅へのホームドア設置を進めています。名古屋駅で設置されていますが、県内で「のぞみ」が通過する豊橋、三河安城両駅には設置されていません。在来線全駅も未設置です。
 

鶴舞線にも

 愛視協と愛知働くもののいのちと健康を守るセンター(愛知健康センター)は、名古屋市営地下鉄を運営する同市交通局への要望を強めています。同局は2015年度末現在、東山線、桜通線、上飯田線の全駅にホームドアを設置。今年度から名城・名港線で整備を進めていますが、鶴舞線に設置する計画はありません。
 鈴木明男愛知健康センター事務局長は「相互乗り入れしている名鉄との話し合いが不調と言われていますが、同線に乗り入れる車両は編成両数も扉の位置もそろえられています。早急にホームドアを設置してほしい」と話しています。
 

人員配置を

 鈴木さんは安全を確保に必要なな人員配置を強調。「ホームの案内放送の表現を工夫するだけでも相当違います。『黄色い線まで下がって』と言う案内を『点字ブロックの内側まで下がって』と言い換えて分かりやすくしている鉄道事業者もあります」と話しています。

利益を安全対策に 日本共産党衆議院 国土交通委員 本村伸子議員

 日本共産党の本村伸子衆院議員(比例東海ブロック選出)は今年3月15日の国土交通委員会で、鉄道の安全対策を事業者任せにする国の政策を批判。狭くて危険なホームの改善、駅無人化の中止、ホームドアの設置に国が責任を果たし、転落事故を未然に防ぐよう求めました。
 本村氏は、「巨額のもうけを上げているJR東海は在来線のホームドアがゼロ」と実態を告発。同社が運行している東海道新幹線でも、掛川駅(静岡県)はホームドアが未設置であることを示し、「一刻も早く進めるべきだ」と述べました。
 本村氏は、9兆円を投資するJR東海のリニア中央新幹線計画を批判。「利益の多くは乗客や沿線住民の安全対策にまわすべき。在来線を含めて、踏切や駅ホームの安全対策、バリアフリー化を進めよ」と強調しました。