愛知民報

【16.05.01】減税日本 安倍改憲政治の補完勢力

 河村たかし名古屋市長率いる地域政党「減税日本」が夏の参院選愛知選挙区に公認候補を擁立することを発表した。一部のマスメディアは、減税日本を「野党」と見ているようだが、そうではない。
 参院選の大争点は憲法問題だが、河村減税日本は、自民党やおおさか維新と同類の改憲勢力であり、安倍改憲政治の補完勢力である。
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 安倍自公政権は昨年、自衛隊が憲法の禁じる武力行使をできるようにする安保法制(戦争法)を強行成立させた。
 安倍政権は、戦争法を米国の要求通りに使えるように、憲法9条そのものを変えようとしている。
 2012年に発表された「自民党改憲草案」は、戦力不保持、武力行使禁止の9条2項を削除し、「国防軍」を創設するとしている。
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 河村氏は2008年8月に発表した「河村ビジョン」で、「憲法改正(とりわけ9条)」として「9条2項改正、自衛隊明記、国際協力、交戦権否認規定削除、軍事裁判所の設置」を表明している。自民党の改憲草案と同じだ。
 また、河村氏が「従軍慰安婦」や南京大虐殺という日本軍の戦争犯罪を認めない立場にあることは知られている。「総理靖国神社参拝」にも賛成である。 
 安倍右翼首相と同質同類といえる。
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 河村氏の「減税」は、庶民の税負担軽減や大企業・富裕層優遇の不公平税制の是正が目的ではない。
 減税による税収減をテコに、福祉・社会保障予算の縮減と民営化・ボランティア化を推進する。それによって浮いた財源を大企業・富裕層応援と大型開発事業に投じる。
 政治手法はちがうが、行きつく先は自民党政治と同じである。
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 名古屋市議会の減税日本は2015年市議選で「河村市長を助ける男、女」をスローガンに当選した議員たちである。河村氏の野望実現のためにこんどは国会に“私党”を送るのが参院選公認候補擁立のねらいである。(中江篤介)