愛知民報

【15.11.22】愛知県営大高緑地 自然壊し恐竜公園 計画見直し求める運動広がる

 愛知県は10月15日、名古屋市緑区の県営大高緑地内に「恐竜探検」をテーマにした施設を来年7月にオープンすると発表しました。近隣住民らから「貴重な自然を壊すおそれがある」と、計画の見直しを求める声が上がっています。(本紙・錦見友徳)

 
 計画されている施設「ディノアドベンチャーライド名古屋は、県の公募に応じた「株式会社エヌエーオー」(岐阜県郡上市)が設置、管理運営します。動いて吠える実物大の恐竜の模型30体を緑地内の樹林に配置し、来園客が自動運転のカートに乗り探検する「恐竜公園」を設置します。同施設は有料で、園内の「若草山」(芝生広場)の西側斜面3・2?を占有します。県は年間10万人の利用を見込んでいます。
 大村秀章県知事は会見で、民間活力を利用した公園施設整備について「今後、他にもこういった形で整備活用できないか、検討をすすめたい」と発言しました。
 今年の2月定例県議会で県建設部長は、自民党県議の質問に「大高緑地の魅力をさらに高めるため民間のノウハウを活用する」と答弁しています。
 県は今年3月に募集要項を公表し事業者を公募。企画提案をおこなったのはエヌエーオーだけでした。
 同緑地を利用している住民らは、「大高緑地を愛する会」を立ち上げ、今月13日、恐竜公園の計画見直しを求める署名7161人分を、大村知事あてに提出しました。
 同会代表の溝口江里子さんは「大高緑地は、雑木林が残されている貴重な里山です。たくさんの生き物が生息し、オオタカが営巣しています。自然の森を壊さないでほしい」と訴えます。
 「緑地は季節の変化が楽しめる県民の憩いの森であり、幼稚園や小中学校の遠足などに利用され、子どもたちが自然に触れる大切な役割を果たしています」と強調。
 また同緑地が住宅街に接していることにもふれ、「いまでもひどい道路渋滞がどうなるか」と心配しています。
 同緑地内には、ゴーカート、野球場、プール、テニスコートなどの有料施設があります。「愛する会」には「老朽化したまま放置されているプールをきれいにすることの方が先」といった既存施設の補修や有効活用を求める声も寄せられています。
 都市公園法は「都市公園の健全な発展を図り、もって公共の福祉の増進に資する」と定めています。
 日本共産党のしもおく奈歩県議は「県民福祉の増進に資するための県営緑地の開発を民間丸投げでおこなうのは問題。県民への事前の説明もない。利用者数の見込みも疑問。赤字になって事業が破たんすれば後始末は県民負担になります」と警告します。