愛知民報

【15.11.15】安倍政権 介護改悪 減る介護施設、増す不安

 安倍自公政権は9月に打ち出した経済政策「新3本の矢」の目玉として、「介護離職ゼロ」を掲げました。しかし、安倍政権がやっていることは、介護給付削減。今年4月から事業者が受け取る介護報酬が2・27%引き下げられました。介護事業者の経営悪化、「実費」名目での利用者への負担転嫁、事業所の休・廃業などが起こっています。

 
 介護報酬削減が介護基盤整備への大きな打撃になっています。
 日本共産党は訪問介護や訪問入浴、デイサービスなど在宅介護サービスを提供する事業所について、緊急調査を実施しました。愛知県(名古屋市含む)での今年4、5月の事業所休廃止は121件、昨年同時期と比べて11件増えました。新規・再開は317件で昨年より14件減っており、事業所数が全体的に減少傾向であることが明らかになりました。全国でも休廃止件数は前年同時期より15・8%増加しており、減少傾向は大都市部で顕著でした。
 信用調査会社の東京商工リサーチの調べで、今年1月から9月までの老人福祉・介護事業の倒産件数が57件に達していることも明らかになっています。件数、負債総額ともに前年同時期を上回っています。倒産の内訳は、デイサービスなど通所・短期入所が23件、訪問介護が23件。
 県内すべての自治体を訪問し、医療・福祉・介護の拡充を求める「愛知自治体キャラバン実行委員会」が名古屋市内の事業所を対象におこなったアンケート結果は事業所の苦しい現状を浮き彫りにするものでした。
 回答を寄せた41事業所のうち、約半数が今年4月の報酬改定で「減収になった」と答えています。減収への対応は「要支援者の受け入れ中止」「事業所の統合」「非正規職員中心」というもの。27事業所が「職員不足」と答えています。
 同キャラバンが5日におこなった名古屋市との交渉で、市側は2014年度に「廃止」した事業所が204あることを明らかにしました。
 同党の、わしの恵子愛知県議は10月2日の県議会健康福祉委員会で、今年4月に県内のグループホームで、「実費相当額」名目の月15000円の利用料引き上げが利用者に通告されていた例を示し、報酬引き下げによる減収が利用者に転嫁されていることを告発しました。
 男性介護職員(33)はいいます。「介護職員は国家資格を取って誇りを持って働いています。でも給料が恐ろしく安い。しわよせは利用者にもおよびます。緊急に介護報酬を上げるべきです」

大幅増員・待遇改善を 医師・看護師・介護職員がデモ

 
 安全・安心の医療、患者負担軽減、医師・看護師・介護職員の大幅増員・待遇改善などを求めるデモ「ドクター・ナース・介護ウェーブ」が7日、名古屋市中区でおこなわれました。
 愛知県医療介護福祉労働組合連合会(愛知県医労連)などでつくる実行委員会が主催。西野ルミ子愛知県医労連委員長は「介護職員は賃金が安く、忙しい。半分が『やめたい』といっているアンケート結果もある」と報告しました。
 デパート前での宣伝では、介護報酬引き上げや医療・介護の人員確保などを求める国会請願署名が約400人分集まりました。

安心・安全のサービス提供を 日本共産党 参院愛知選挙区予定候補 すやま初美

 安倍内閣は、「戦争できる国づくり」「企業が一番活躍しやすい国づくり」と一体で、社会保障の徹底した切り捨てを行い、介護・福祉サービスを企業のもうけの手段に提供しようとしています。
 介護の分野でも、「総介護費抑制」「効率化・重点化」名目で、要支援者の保険外し、利用料の引き上げ、特別養護老人ホーム入所対象を「要介護3」以上に限定するなど、改悪を強行しています。
 制度改悪は利用者にとってあまりにも過酷です。高い保険料を納めているにもかかわらず、保険給付を受けられなければ介護保険は掛け捨てです。今でも食費、居住費など保険外の支払いが利用者を苦しめています。
 事業者の経営難、人材難による事業所閉鎖は「介護取り上げ」に直結します。
 私は、お金の心配なく安心して利用できる介護サービスを提供し、介護職員が誇りを持って働き続けられる体制を築くため国に働きかけたいと思います。