愛知民報

【15.11.01】産廃進出 絶対阻止する 新城市 「環境を守る」と市民総がかりの行動

 「環境悪化の産廃施設ノー」―新城市で市民総がかりの運動が続いています。豊橋市の産業廃棄物処理会社が下水道汚泥や食品残さを利用する肥料製造工場を同市内の工業団地に設置する計画です。同社の別工場でつくられた「肥料」は農地に野積みされ、悪臭を発生。新城市民は「肥料とは名ばかり。実態は産廃」と反対運動を強めています。

新工場計画

 豊橋市の産業廃棄物処理業者・タナカ興業が製造した「肥料」は、かつて静岡県から、「肥料でなく廃棄物に該当する」として撤去を命じられています。
 にもかかわらず現在も同「肥料」を豊橋市で製造し、田原市に持ち込んでいます。
 同社は新工場建設を当初設楽町に計画。住民の反対で挫折し、次に新城市の工業団地に目をつけました。同団地は愛知県が造成したもの。タナカ興業は2013年4月、団地内の土地を取得しましたが、新城市民の強い反対により操業できずにいます。

悪臭工場

 「肥料」製造を行う豊橋市の同社工場は、巨大な建屋に覆われていますが、広範囲に悪臭を放っています。
 工場周辺は「産廃反対」の看板が多数あり、農作業中の女性は「本当に臭くてかなわん」と訴えます。
 新城の新工場計画は、豊橋工場の3倍の規模です。

これが肥料か

 同工場の「肥料」は田原市へ。「肥料」が搬入された畑は強烈な悪臭を放ち、しみ出す汚水にハエが群がります。猛毒のヒ素が土壌環境基準の5倍検出され、問題となっています(市民団体調査)。

市民総がかり

 昨年1月、タナカ興業が行った説明会は、「悪臭産廃反対」「子どもが心配」と反対意見が続出。市民は運動に立ち上がりました。
 先頭に立つ「子どもと環境を守るママの会」は反対署名1万3千筆を集め3月、産廃行政を担当する県に提出。署名は総計3万4千筆、新城市人口の約7割に広がりました。
 「新城の環境を考える市民の会」が結成され、同会が9月に開催した反対集会は1千人が集まる大集会に。さらに今年1月、県庁舎前でも「産廃ノー」を訴え、運動は全県に知れ渡りました。
 同会は今年6月、産廃フォーラムを開催。しもおく奈歩日本共産党県議は「議会で追及する」と発言しました。

市議会・行政も

 共産党の浅尾洋平新城市議は議会で繰り返し産廃問題を質問。昨年3月、市議会は「適切な対応を求める」意見書を県に提出し、12月には「産廃許可反対」の請願を趣旨採択。市当局は9月に「産廃対策会議」を設置しました。同会議では島津幸広日本共産党衆院議員の国会質問が資料として使われています。
 「絶対に阻止する」と市民の運動が続いています。

国、愛知県に厳正な対応求める 共産党議員が追及

有償取引に見せかけ 島津幸広衆院議員が告発

 日本共産党の島津幸広衆院議員は3月27日の衆院環境委員会で、田原市の耕作放棄地で「肥料」が高さ3?も積み上げられ、野ざらしにされている問題を告発しました。
 島津氏は「需要もないのに必要以上に畑に積み上げるのは、肥料の一般的な使い方か」と追及。農水省の担当者は「一般的な使い方ではない」と答弁しました。
 島津氏は、「肥料」を作った業者が重機を使って畑ですきこみ作業を行っている写真を示して「有償取引に見せかけ、それ以上の便宜を図っている。不法投棄の可能性が高い」と追及。望月義夫環境相は、愛知県に対し「助言する」と答弁しました。

悪質業者 厳正対応を しもおく奈歩県議が追及

 日本共産党の、しもおく奈歩県議は、10月2日の県議会振興環境委員会で、タナカ興業の進出に新城市民は強く反対していることへの認識を問い、県は同社の新城工場操業を許可すべきでないと質しました。 
 市民団体の調査により、同社の「肥料」が搬入された農地から土壌環境基準の5倍ヒ素が検出されたことに触れ、「ヒ素は人体に非常に有害。ヒ素が出る農地での農産物生産はあいまいにできない」と再調査をきびしく求めました。