愛知民報

【12.11.18】改憲策動が台頭 9条運動正念場 

 戦争放棄をうたった憲法9条を守る運動が新たな正念場を迎えています。「集団的自衛権行使」の名で米軍と自衛隊の共同軍事行動実施のねらいを背景に、民主、自民、橋下「維新」、石原新党から改憲の動きが露骨に出てきたからです。これに危機感が広がり、9条運動が活発化しています。

 自民党は「集団的自衛権の一部行使」を公式に打ち出し、自衛隊の「国防軍」化を盛り込んだ「憲法改正草案」を発表。改憲右翼の安倍晋三氏が新総裁に選ばれました。
 橋下「維新の会」や自主憲法制定を掲げる石原「太陽の党」も9条を敵視する改憲派です。
 野田民主党政権は集団的自衛権を否定してきた従来の政府見解を見直そうとしています。
 改憲策動を加速させているのは、日米共同の武力行使体制づくりです。米軍協力を想定した自衛隊の小牧基地所属の空中給油機による給油訓練や伊勢湾での機雷戦訓練がおこなわれています。
 8月に防衛大臣と米国防長官の会談で日米軍事協力の指針=ガイドライン再改定の協議に入ることが合意されました。

九条の会 県内に130

 愛知県内の「9条の会」は約130。自治体、行政区から学区、丁目まで、トヨタなど大企業の職場、大学内、宗教者、放送人にも広がっています。
 岩倉市の「9条の会」は10月、憲法を読む会をスタートさせ、現行憲法前文と自民党の憲法改正草案の前文を読み比べました。同会の黒田好昭代表委員は「自民党が国民主権の原則さえも変えようとしていることがよく分かります」と語っています。
 2006年からアジア・太平洋戦争開戦の12月8日に「平和のともしびウォーク」をおこなっている名古屋市昭和区の9条の会の舟橋勝事務局長は「草の根レベルで9条運動をもっと強めたい。幅広く参加を呼びかけながら、改憲勢力に対決する」と話しています。

総選挙争点に

 憲法問題は総選挙の重大争点になってきています。日本共産党は綱領に「現行憲法の前文をふくむ全条項をまもる」と明記しており日本共産党の躍進で改憲勢力に強打をあたえ、憲法9条を守るたしかな力を大きくしよう」と訴えています。

次世代が生きられる日本を ノーベル賞作家 大江健三郎さん 県民のつどいで9条運動を激励

 
 ノーベル賞作家の大江健三郎さん(九条の会呼びかけ人)は憲法公布66周年の3日、あいち九条の会が名古屋市公会堂で開いた県民のつどいで講演しました。
 大江さんは、改憲を主張する安倍晋三自民党総裁と新党を作ろうとしている石原慎太郎氏について、「彼らの野心は、憲法を日本人の行動規範を示すものに作り直すことです。だから?教育を変える?と言います。国民一人ひとりの価値観をどうして彼らが決めるのか」と批判。
 「憲法は国家を縛るもの」と指摘し、憲法で国民を縛る改憲論者の発想は、これとはまったく逆のものだと述べました。
 大江さんは、現行憲法は明治の自由民権運動や大正デモクラシーなど日本の歴史の民主主義的なものを生かしてつくられたと力説。「占領軍の押しつけ憲法」論を批判しました。
 講演の最後に「大切なことは目に見えないものを読み取り、見抜くことです。子どもたちが生きていける世界を次世代に渡すことです。だから現行憲法をまもり、原発はなくさなければなりません」と述べ、9条を守る草の根の運動を激励しました。