愛知民報

【12.07.15】長良川河口ぜき ゲート開放を 

 長良川に「河口ぜき」ができて17年。自然破壊が大問題になりながら、使っている水はたった16%。川の流れを止めている河口ぜきのゲート開放を求める動きが起きています。
 

かわえ明美さん 現地を調査

 
 かわえ明美衆院東海比例候補、松崎省三衆院愛知9区候補、もとむら伸子参院愛知選挙区候補ら日本共産党の長良川河口ぜき調査団は5日、同河口ぜき(写真)や愛知県知多地域の水道用水取水施設、木曽川大堰上流の名古屋市の水道用水取水施設、木曽川水系連絡導水路の下流施設建設予定地を視察しました。岐阜、三重両県の衆院候補や地方議員も参加しました。

使っている水はわずか16%

 伊勢湾に流れ込む長良川の河口から5・4? 上流、三重県桑名市にある河口ぜきの駐車場に車から降り立つと、瞬間、ムッとするドブ臭さ。“清流”長良川の無残な姿でした。

 河口ぜき建設前は上流から下る真水と伊勢湾から上る塩水が混じる汽水域で、ヤマトシジミの産地でした。

 いま、川底にはヤマトシジミの姿はなく真っ黒のドロです。アユやサツキマスも激減しました。

 昨年12月、名古屋で開かれた長良川河口ぜきの開門を求めるシンポジウムで、岐阜県羽島市の川漁師、大橋亮一さんは「宝の川に戻してほしい」と訴えました。

 「河口ぜきに反対し長良川を守る岐阜県民の会」は今年5月、河口ぜきのゲート開放を求める請願書を約4500人の署名を添えて衆参両院議長に提出しました。

 日本共産党から佐々木憲昭衆院議員、井上さとし参院議員が紹介議員になりました。
 
   ◇

 長良川河口ぜきの目的は、貯めた長良川の水を工業用水や水道用水に使うこと。開発水量は毎秒22・5?ですが、実際に使われているのはわずか3・59?(16%)。

 愛知県が長良川河口ぜきにもつ工業用水毎秒8・39?、名古屋市の水道用水同2?は一滴も使われていません。「環境破壊と浪費の典型」です。

 ところが、揖斐川上流に国が建設した徳山ダムの水を木曽川・長良川に引く木曽川水系連絡導水路建設計画に便乗し、河口ぜきの“余り水”を愛知県と名古屋市に引く導水路構想があります。

 「二重、三重のムダ」と、反対運動がおきています。

    ◇ 

 愛知県の大村秀章知事が公約した長良川河口ぜきの開門調査に向け、専門家でつくる「県長良川河口堰最適運用検討委員会」が課題の検討をはじめました。

 知多地域の水道水源を長良川から元の木曽川へ切り換えることや、愛西市福原輪中の塩害防止調査などです。

 自然回復へ、長良川河口ぜき問題は新しい局面を迎えています。

知多半島の水道水源 元の木曽川に 日本共産党半田市議 山内悟さんの話

 知多半島の水源が長良川河口ぜきになった当初から、「木曽川の水に戻せ」と、住民と共同して運動し、議会でも取り上げてきました。長良導水の取水口はいつ見に行ってもごみが浮いている状況で「こんな汚い水を飲んでいるのか」と怒りがこみ上げてきます。知多浄水場のコックをひねれば、水源を木曽川に戻すことができます。岩屋ダムなどの工業用水の水利権を見直せば渇水にも対処できます。難しいことではありません。愛知県には決断を求めたい。

長良川河口ぜき

 国が長良川河口部に建設した可動式ゲートをもつ大型多目的ダム。建設事業費1840億円。1995年完成。上流からくる真水と伊勢湾からくる塩水が混じる河口部特有の気水域生態系を破壊。目的は、工業・農業・水道用水の確保、洪水・塩害防止。それらの効果は疑問視されている。

木曽川水系連絡導水路

 木曽川水系の揖斐川上流に建設された徳山ダムの水を長良川・木曽川を経由し、愛知・岐阜・三重3県と名古屋市に引く長距離導水路。上流施設と下流施設を合わせた建設事業費約890億円。河口ぜきに続く徳山ダムの水は必要性がなく、導水路は“三重のムダ”と批判されている。