愛知民報

【12.05.20】放射能から子どもを守る 学校給食食材の線量調査 

 県内各自治体で、学校給食用食材の放射線量を測定し、子どもたちの安全を守る取り組みが広がっています。住民の切実な願いが自治体を動かす力となっています。放射線量を測定する自治体のほとんどで、日本共産党の議員団がこのとりくみをリードしています。

半田市学校給食センター 線量調査毎日 給食前に結果を発表

 半田市は学校給食センターで使う食材に含まれる放射性物質を毎日測定し、結果を給食時間前にホームページで公表しています。

 日本共産党の松本如美市議は昨年の12月議会で、学校給食の放射線量測定と住民への公表を要求。榊原純夫市長は「測定機器を導入して検査し、住民の不安に応えたい」と答弁しました。

 今年3月から測定が始まりました。本紙が取材した5月10日朝、給食センターに搬入されたキャベツ、にんじん、きゅうり、たまねぎ、じゃがいも、豚肉といった食材の線量が測定されました。調理が終わった午前11時、新保幸雄所長が給食1食分をミキサーで攪拌して線量を測定。その直後にホームページで「検出せず」の結果が発表されました。

 新保所長は「給食の前に結果を発表し、保護者に安全だということを知らせています。仕事は忙しくなりましたが、誇りを感じています」と言いました。

 松本議員は「一番大切なことは、行政が市民の安全を守る先頭にたつこと。この取り組みは、自治体本来の役割を発揮するものです。さらに、地震・津波対策など安心・安全第一の市政をつくりたい」と話しています。

各地で力あわせて

 放射能汚染から住民の安全を守るために、食の安全に関する学習会、子どもの遊び場などでの放射線量調査、原発ゼロをめざす住民の運動が各地ですすんでいます。

 日本共産党は住民と共同してこの取り組みを促進。公園など子どもが集まる場所で放射線量を測定し、「線量マップ」の配布など住民の不安に応えています。また、各地方議員団が議会質問で給食の食材や大気中の放射線量測定、地震・津波対策を求め、自治体を動かしています。

 東郷町では学校、保育園など40カ所で毎月1回放射線測定を行い、結果をホームページで公表しています。

 尾張旭市では市が携帯用放射線量測定器を購入し、公共施設での測定を実施。北名古屋市では、住民が希望する場所に職員が出かけて線量調査を行っています。

 子育てママなどに呼びかけて放射能問題の講演会や原発ゼロの運動に取り組む安保成子さん(44)=名古屋市緑区=は「子どもの安全を守るのは大人の責任です。しかし個人のレベルでは守れません。給食の線量調査はすべての自治体で行い、東北や関東から避難している子どもの無料検診も実施するよう働きかけたい」と話しています。

食材検査 8市町で実施 準備も8自治体

 本紙編集部は10日、県内54市町村すべての学校給食担当に聞き取りました。8市町が放射線量の状況を測定しており、準備中は8つの自治体でした。

 名古屋市 食品衛生検査所で、原子力災害対策本部が線量検査を求めた17都県の食材を抜き取り検査。それ以外の検査は県薬剤師会に検査委託。

 豊橋市 学校給食協会が17都県の食材を測定。結果はホームページで公表。

 岡崎市 提供した給食1週間分を混ぜたものと、これから使用する食材を月1回ほど検査。規制値を超えるものがあれば公表。

 一宮市 2カ所の給食センターで測定。

 半田市 毎朝、食材の線量検査。調理後にも検査。結果は毎日、給食時間前にホームページで公表。

 あま市 17都県産の青果物を納入時に線量測定。

 扶桑町 毎朝、野菜食材の線量測定。保護者に配布する献立表で安全性を知らせる。
 
 蟹江町 週3回程度、食材の線量測定。

 測定機器を購入し、まもなく実施するのは春日井、安城、小牧、東海、知立、豊明、北名古屋の各市、東栄町。