愛知民報

【11.11.27】地域経済のあり方を問う トヨタシンポジウム 

国際競争型から地域循環型へ

  トヨタ自動車の社会的責任を問う「第28回トヨタシンポジウム」が13日、豊田市で開かれました。愛労連(愛知県労働組合総連合)や西三河労連、地元民主団体でつくる実行委員会の主催です。

 各代表が利益第一で労働者と下請け業者、住民を犠牲にするトヨタを告発しました。

 トヨタが政府にTPP参加圧力を強めたこと、国際競争の名による賃下げや下請け単価切り下げで「社長はタダ働き」の企業が生まれた、「節電」名目の土日操業で飲食店の客が激減し廃業が続いたことなどが報告されました。東日本大震災やタイの水害で操業縮小に追い込まれた、トヨタ生産方式の弱点も明らかになりました。

 基調報告では、トヨタの内部留保を取り崩し労働分配率や下請け単価を引き上げさせる、震災復興を口実にした財界主導の労働規制緩和を阻止するなどが提起されました。

 井内尚樹名城大学教授が「3・11以降の日本経済と今後の地域経済のあり方」と題して講演。「国際競争型の産業構造ではなく、自然エネルギーを基礎に地域産業構造を構築し、中小企業と住民を主体にした循環型地域経済への転換が必要」と強調しました。

TPPの“推進役” 実行委員長 榑松(くれまつ)佐一さん

 
 野田首相がTPP(環太平洋連携協定)交渉参加を表明しました。輸出大企業が政府に圧力をかけ積極的に推進したものです。

 とくにトヨタは、国際競争のために賃下げや?派遣切り?をすすめてきました。これはトヨタだけでなく、全国で年収200万以下の労働者を大量に生み出し、国内産業に悪影響を及ぼしました。

 TPPに参加すれば、労働者の賃金はもっと下がります。日本の労働者が高い車を買えなければアジアで安い車を売る。そのためには、日本の労働者の賃金を上げない。

 国際競争は間違いなく国内労働者の賃下げ、下請け単価引き下げにつながります。

 トヨタの社会的責任を追及し、労働法制の規制緩和を含むTPPの危険性を、国民に知らせていきましょう。

労働者使い捨て 日本共産党トヨタ自動車党委員会 酒井俊一さん

 
 トヨタは大震災とタイの洪水で操業縮小に追い込まれ、部品の在庫を持たない「かんばん方式」と、海外の安い労働力に依存する生産方式の弱点が浮き彫りになりました。

 プリウス増産による人手不足で、求人情報誌で14週続けて期間従業員を大募集していますが、人は集まりません。労働者はすぐに雇い止めされると見抜いており、労働者を使い捨てにしてきたトヨタの利益第一主義の矛盾が現れています。

 党委員会はインターネット上にブログを立ち上げましたが、個々の記事へのまじめなコメントが増え、トヨタ労働者の意識は変わってきています。私たちの訴えに、8万人の全労働者が共感できるよう奮闘していきます。

土日操業で混乱 日本共産党豊田市議 根本美春さん

 市は、トヨタが今夏、節電を名目に行った土日操業の影響のまとめを発表しました。

 保育園は人材派遣会社や退職者の応援で対応し、ストレスで体調を崩す子どもも出ました。学校の授業参観の参加者は例年の7割、土・日曜日の展覧会の参加は半減しました。

 市主催のイベントの日程が変更され、地域の祭りもスタッフ不足で中止に追い込まれました。市街地は木、金曜日に渋滞し、土、日はタクシーの売り上げが減少しました。

 節電期間中の9月には、休日のはずの木曜日が増産で出勤になり、土曜日出勤も続いています。企業の都合で地域社会が振り回されました。市の財政支出が増えました。トヨタに負担を求めるべきです。