愛知民報

【11.10.16】守ろう日本一の敬老パス 吉岡弘晴(名古屋市中村区) 好循環型の政策

 
 河村たかし名古屋市長は事業仕分けで、市民の宝「敬老パス」(市バス・地下鉄敬老無料乗車証)を見直そうとしています。

 敬老パス制度は1973年に、日本共産党と社会党(当時)が与党の本山政雄革新市長のもとで65歳以上の市民に支給されました。

 この制度は多くの市民に喜ばれ、本山氏の2期目の選挙で相手候補に圧勝する力になりました。当時の朝日新聞は「?ツエ?のような本山さん お年寄りに大受け 無料パスが2期目のパス」と大きく報じました。

 本山市政は?福祉日本一?と呼ばれる市政を実現し、敬老パスはその象徴でした。

 本山革新市政に代わり、自民党が与党の保守市政になると、先進的な福祉制度を後退させる動きがはじまりました。

 2004年2月、当時の松原市長は、「財政難」を口実に敬老パスの有料化を議会に提案しました。敬老パスの初交付と毎年の更新時に、本人に一定額を負担させる形の有料化です。

 反対したのは日本共産党でした。自民党、民主党、公明党は賛成し、結局、所得に応じて1000円、3000円、5000円の負担金が導入されました。

 それでも、市民の運動で、今日も65歳支給は守られています。

 敬老パスの効果を列挙してみます。

 ?65歳以上の市民に社会活動への参加や文化的生活を保障している。 
 ?65歳以上の市民の家庭内ひきこもりをなくし、健康維持に役立っている。
 ?病気が重くならないうちに病院に出かけることができ、医療費縮減にも寄与している。
 ?閑散時の市バス・地下鉄等の有効活用で、町が賑わい、買い物や食事などの経済効果を生み出している。
 ?駐車違反や排ガスなど交通公害を少なくし、都市の環境改善に役立っている。
 ?65歳以上の家族が出かけ、家庭の主婦も自分の時間が持てて家庭環境も良くなっている。
 ?結果的に、市民の足を支える市営交通事業の貴重な財源になっている。
 ?愛知県内の各自治体の交通政策(巡回バスなど)に大きな影響を与えている。

 このように市の予算のわずか1・25%程度で、目に見えない効果を含めると大きな経済的、文化的価値を再生産しています。

 市民の納めた税金が敬老パスという形で市民に還元され、その利用で町の活気を生み出すという好循環型の政策なのです。

 名古屋市以外の大都市は、いまだに70歳以上が対象です。だから確かに日本一の福祉制度であり、今後ともしっかり維持していく必要があります。