愛知民報

【11.06.19】県営名古屋空港 強まる軍用依存 収入65%が航空自衛隊 9月から管制塔が小牧基地側に

 
 2009年度の愛知県営名古屋空港(豊山町)の収入のうち、民間機は35%にとどまり、65%は自衛隊機の着陸料など防衛省に依存していることが判りました(別表)。

 08年度と比べると、民間機収入は4億8500万円から5億2100万円に7・4%増。自衛隊機は7億2500万円から9億6900万円に33・6%増と、自衛隊使用が大幅に伸びています。

 09年度の同空港の収支は黒字ですが、これは単年度だけ。名古屋空港の県営化に伴い、県は国から、着陸帯などの用地を191億円余、施設を51億円余で買い取りました。この資金は巨額の県債で調達。その元利償還費を含めると、“赤字空港”です。

 10年秋に県営名古屋空港から日航が全面撤退し、代わって静岡県の地域航空会社フジドリームエアラインズが就航しましたが、日航に較べ路線数は少なく、11年度の民間機収入は大幅に減ると見られます。

 中部財界は、利用不振の中部国際空港(常滑市)を支援するため、県営空港の国内定期旅客航空路線を中部国際空港に集中させるよう求めています。

 現在、県営空港を使用する航空機をコントロールする管制業務は県からの委託で自衛隊がおこなっていますが、管制塔は県営空港側にあります。防衛省はこれを小牧基地側に移設する計画をすすめ、今月13日に新管制塔が完成しました。9月から業務開始の予定です。

 県営空港の自衛隊依存はさらに深まります。「自衛隊小牧基地の存在と有事法制のもとでの県営飛行場化は、県民の負担で戦争支援の拠点空港を支えるという軍事的本質をもつ」(林信敏・日本共産党元県議。本紙03年5月18日付)という指摘が現実味を帯びてきます。

 県営空港での墜落炎上など重大な航空機事故やトラブルは自衛隊機や米軍機によるものです。軍用依存が強まるなか、空港周辺住民の不安も募っています。

 防衛省が県営空港に使用料を支払うのは当然ですが、小牧基地の機能強化と県営空港の戦争利用を許さない県民のきびしい監視と平和運動が求められます。

2009年度県営名古屋空港の収支状況







項目 金額(百万円) 摘要
民間機着陸料など 521 着陸料、停留料、業務施設使用料など
収入 自衛隊機着陸料など 969 着陸料、行政財産使用料など
1,490
指定管理者委託費 730 指定管理者への指定管理料
支出 県直接事業費 503 滑走路等施設の補修費や県空港事務所の人件費・事務費など
1,233
257



「指定管理者」=空港の管理・運用を委託している県出資の第3セクター・名古屋空港ビルディング株式会社