愛知民報

【10.12.12】大村・河村 「中京都」構想 市解体、知事強権化 

橋下「大阪都」構想に見るあぶない問題点

 2月6日投票の愛知県知事選に出馬する大村秀章自民党衆議院議員は、同氏と連携する河村たかし名古屋市長との共通公約として「中京都(仮称)」構想を発表しました。「愛知県と名古屋市を合体」させ、「強力で唯一の司令塔」をつくると言います。大村・河村両氏にエールを送る橋下徹大阪府知事の「大阪都」構想の問題点を見てみました。

企業をもうけさせる

 「大阪都」構想とは、大阪市、堺市、周辺9市を20の特別区に分割・再編し、各特別区に公選制の区長を置く仕組み。

 橋下府知事は、「企業も人もカネも集まらない。その元凶は大阪府と大阪市という二つの役所があること」と不況の原因を地方制度にすり替え、「都市間競争に勝つためには権限と財源を一人の指揮官に集中させなければならない」と「大阪都知事」への権限集中を主張しています。

 「大阪都」の仕事として「企業にもうけてもらい、税収をあげる究極の成長戦略」「空港、港湾、高速道路、鉄道のインフラ整備」「法人税減税や規制緩和などの特区の設定」などをあげています。

「都」で行政コストかさむ

 大阪市議会の日本共産党議員は、各特別区に区議会や教育委員会などの機構や行政システムを「わざわざ作らないかん。確実にコストがかさむ」と指摘。

 大阪市当局も特別区への移行作業は「想像しかねるような膨大な量」と答えています。
 「大阪都構想」のねらいのひとつは、大型開発政治で借金漬けになった府の財政再建のために大阪市の財産や収入を活用すること。

 橋下知事が代表をつとめる「大阪維新の会」は「大阪市役所が保有する資産と人材は莫大。これを大阪全体のために有効活用する」と主張しています。

住民サービス削減

 「大企業支援や大型開発には熱心でも、住民の暮らしや経済の困難、自治体の格差是正に責任を持たないのが知事の本質」――共産党大阪府議団は批判しています。

 橋下知事は、福祉・障害者団体運営費補助や府独自の高齢者住宅改造事業の廃止、非正規教員依存の教育体制、中小企業ものづくり予算の削減を強行しています。

メリット見えない

 橋下知事は、来年の大阪府・大阪市議選で「大阪維新の会で過半数を取る」と叫んでいます。同会の現職はほとんど元自民党議員。「大阪都」構想は財界肝いり。

 マスメディアは「住民にとってメリットが見えない」と書き始めています。