愛知民報

【10.10.17】後期高齢者医療制度 新制度案に批判 広域国保に移行 年齢差別変わらず

 厚生労働省は1日、名古屋市内で75歳以上を対象とする後期高齢者医療制度に代わる新制度案についての市民公聴会を開催しました。参加者から「年齢による差別は変わらない」など批判が相次ぎました。
 

 新制度案は、会社員やその扶養家族になっている高齢者は健康保険組合など被用者保険に入ります。それ以外の約8割の高齢者は国民健康保険(国保)に加入します。財政運用は都道府県単位となり、市町村単位の現役世代とは「別勘定」にします。厚労省は年末までに最終案をとりまとめ、来年の通常国会に提出する予定です。

 参加者から「現役世代と『別勘定』だと、高齢者の増加に伴い医療費が増え保険料が高くなる。後期高齢者医療制度と変わらない。ただちに廃止し元の老人保健制度に戻すべきだ」(年金生活者)、「保険料や窓口負担が大変。医療費の公費補てんで負担を軽くしてほしい」(78歳男性)、「経済状況が厳しく保険料収入が減少している。公費負担の拡大は不可欠」(健康保険組合職員)などの意見が出ました。

繰り入れ、減免廃止で保険料負担増

 民主党政権は2013年に高齢者医療を新制度に移行し、続いて現役世代の国保も都道府県単位の運用に変えようとしています。広域化すれば被保険者の負担は増大します。

 厚労省は都道府県ごとの標準保険料の算定方式を法令で定める計画です。国保料を抑えるために市町村が独自に行っている一般会計からの繰り入れをやめるよう通達しました。繰り入れをやめれば保険料の値上げは必至です。

 現在、国が定めた保険料の減額制度に上乗せする独自の減免制度や、患者の窓口負担の減免をおこなっている市町村があります。

 こうした減免措置もなくなる可能性があります。

 厚労省は都道府県に対し、国保の「広域化等支援方針」の策定を求めています。愛知県は今年末までに策定予定です。