愛知民報

【10.09.19】河村名古屋市政 市立病院民営化 地域医療低下まねく

住民に不安 運動さらに

 公約違反の大企業・金持ち優遇税制と一体で「福祉の構造改革」をすすめる河村たかし名古屋市長は今年2月の市議会で、2010年度末に西部医療センター城西病院(中村区・305床)の市営廃止・民間譲渡、緑市民病院(緑区・300床)の管理に民間法人を入れる指定管理者制度の導入を強行しました。

 市民から「救急外来はどうなるのか」「安心して子どもが産めない」など不安と怒りの声があがっています。

 市は1日、城西病院を名古屋市内の医療法人などでつくる3者グループに譲渡すると発表しました。民営化し、病院、介護老人健康施設、特別養護老人ホームに変える計画です。

 8月26日、「『城西病院をよくする』地域医療を考える会」(太田義郎会長)が市に要求し説明会が開かれました。

 「現在の診療科目や病床数は維持されるか」「救急外来はどうなるのか」などの質問が相次ぎました。市側は「公募条件は20床以上をもつ病院。診療科目や救急対応は相手次第で約束できない」と無責任な態度でした。

 譲渡先の医療法人の計画では、来年4月からは病床数は現在の半分以下の120床で内科のみ。新病棟に移行する2012年4月からは内科に加え神経内科、呼吸器外科など5科になるとしています。現在の14科から大幅に縮小されます。

 同会の太田会長は「中村区は高齢者率が市内一。高齢者は骨折が多く整形外科は欠かせない。診療科目が不十分」と指摘します。

 緑市民病院の指定管理者制度実施について同市は8日、応募していた医療法人が辞退したため、条件を見直して公募をやり直すと発表しました。

 緑市民病院の指定管理者の応募条件は現在の14の診療科目と300病床の維持。6月の説明会には4法人が参加。うち1法人が応募しましたが、結局、「内科、外科以外の医師確保が厳しい」と辞退を申し出ました。

 緑区の住民からは「応募しやすいように条件を引き下げ、診療制限や病床削減になるのでは」と不安が広がっています。

 すでに同病院の産婦人科では妊娠が判明した人の出産・分娩などの入院予約を断っています。「来年からの産婦人科の診療制限を見こしているのでは」「緑市民病院で子どもが産めなくなる」の声が出ています。日本共産党の、かとう典子市議は「河村市長の市立病院改革計画は市民や患者の視点が見られない。民営化を見直すべきだ」と強調します。