愛知民報

【10.09.19】豊川市プリオ 大型店撤退 経営破たん

豊川市議会 税投入にマッタ 

 地方自治体が民間企業と共同出資した開発型第3セクター事業が各地で経営難に陥っています。県内では、3セク交通機関・リニモ(東部丘陵線)やテーマパーク・ラグーナ蒲郡が税金投入で支援されています。豊川市のプリオ「再生」に市議会側は「税金投入ノー」を突きつけました。
 

再建の見通し暗く

 豊川市中心街にある再開発ビル「プリオ」は第三セクター「豊川市再開発ビル株式会社」(社長・山脇実豊川市長)が運営・管理しています。

 プリオは89年に完成。当初からキーテナントとして大型店のアピタが出店していましたが、今年8月末、売り上げ低迷を理由に撤退しました。ほかのテナントも現在、閉店セール中です。

 開発ビル会社は後継テナントの誘致に取り組んでいますが、先行きは暗く、今後の収益悪化や破たんが懸念されています。

 山脇市長は「他の民間出資者への道義的責任や地元商店街の振興のため」と事業継続を表明。9月議会にフロアや駐車場の改修費1億7500万円を盛り込んだ補正予算案を提出しました。

 議会の審議では「今後10年間の収支計画は純利益を生み出さず、赤字経営が続く」「無謀な延命策に税金の投入は問題」と反対意見が相次ぎました。

 6日の本会議で駐車場改修工事費(2500万円)が反対多数で否決されました。

 議会を傍聴した市民は「公共交通ならともかく、営利目的のビル経営に税金を使うのは問題」と話していました。

【豊川市開発ビル株式会社】
 豊川市と地元商店街、豊川商工会議所、豊川信用金庫、ひまわり農協などの出資で1988年設立。資本金7800万円(市の出資4000万円)。同市諏訪町のプリオ(5階建)・プリオII(4階建)ビルを管理運営。

開発優先政治のツケ 佐藤いくえ・豊川市議

 豊川市は合併しても人口約18万に過ぎず、商圏が狭く、プリオは明らかに過大設備です。
 バブル経済崩壊後にプリオIIの建設を強行したことが、経営危機の最大の要因です。開発優先政治のツケが回ってきています。
 再建計画案を見ても、将来の借金を返すあてが見当たりません。市は「続けさせてほしい」と言っていますが、ここまで借金を膨れ上がらせた責任は重大です。
 3セクの開発ビル会社は解散・清算も選択肢に入れ債務整理を図るべきです。
 ビルそのものは市の責任で安く買い取り、公共施設中心に再活用を図るべきです。借金して入居しているテナントもあり、営業補償も必要です。