愛知民報

【10.05.16】安心して励める農業に 日本共産党の農業政策提案 自給率向上のプラン

 日本共産党は4月26日、「低すぎる所得補償では展望が開けない―価格保障と所得補償の充実、輸入自由化のストップで、農業再生を」を発表しました。

 昨年夏の総選挙では「このままでは農業も農村も壊れてしまう」という農業関係者の危機感が自公政権退場の大きな力になりました。しかし、民主党政権が転換に応えていない状況のもとで、日本共産党の今回の農業政策は2008年3月に発表した「農業再生プラン」を発展させ練り上げたものです。

共感と期待広がる

 「世界的に食料不足。輸入頼りの政策は変える必要がある」などの共感と期待が広がっています。

 愛知農民連の早崎英夫前会長は「若い人たちが安心して農業が続けられるよう価格保障・所得補償制度の充実のため共同して運動を広げたい」と話しています。

 かわえ明美参院比例予定候補、もとむら伸子参院愛知選挙区予定候補は各地の農業関係者を訪れ、農業政策を紹介し懇談しています。

 日本共産党東三地区委員会は約300軒の農協、農機具・肥料販売店に農業政策を届けています。

厳しさ増す農家

 
 愛知県は農業産出額全国6位の「農業大県」。しかし農家の減少、農業従事者の高齢化、輸入農産物の増加、肥料や畜産飼料の高騰できびしさが増しています。

 愛知県がまとめた2010年版「農業の動き」によると、県内農業の純生産は1999年度1608億円から07年度1338億円に落ちています。

 08年2月の総農家数は9万1746戸。00年に比べ6845戸、6・9%の減。販売農家数は5万1638戸。00年より1万3427戸、20・6%も減っています。

 農業従事者のうち65歳以上が56%を占めています。09年の新規就農者(39歳以下)はわずか113人にとどまっています。

 販売農家の08年の農業取得は124万円。勤労者世帯と比べるとかなり低い状態です。

 もとむら伸子予定候補らは4月19日、愛知県豊橋市の豊橋農業協同組合を訪れ、白井良始組合長らと懇談しました。

 白井組合長は「昨年の台風18号でビニールハウスなど大きな被害を受けた。重油や肥料代も高く、施設を修理しても経営がなりたたないと農業をやめた人もでている」と報告.民主党の戸別所得補償制度について「現場の実情にあっていない。農民は自分の労賃など勘定に入れずに働いても赤字。せめて再生産できる農産物価格になるよう支援してほしい」と訴えました。

国に声を届ける

 
 日本共産党の知多地方議員団は3月、もとむら予定候補とともに半田市酪農組合を訪ね、中島隆組合長や牧場経営者らと懇談しました。

 中島組合長らは、餌代の高騰で離農が増加している実態を話し、所得補償のためにも国が価格下落時に一定の補てんをする肉用牛飼育対策の継続や補てん水準の引き上げなどを要望しました。

 これらの要望を受け、かわえ明美比例代表予定候補ともとむら予定候補らは4月30日、配合飼料価格安定制度について生産者(農家)の負担軽減や飼料米、稲発酵粗飼料(稲WCS)の流通経費への支援を求めて農林水産省と交渉しました。

 同省の担当者は、機械リース代の2分の1助成を始めたことを報告。半田市酪農組合から強い要望のあった牛舎の脱臭に効果のある「茶がら」「コーヒー絞りかす」の活用について地域バイオマス利活用交付金を利用して支援するよう東海農政局に伝えると答えました。

崩壊する「保守地盤」

 総選挙から9カ月。国民多数から「民主党政権は期待はずれ」という失望の声が広がっています。一方で政権を失った自民党は、「後向きの立場から民主党政権の攻撃に終始し、次つぎと離党者が生まれ、政党としての崩壊過程が始まっています。

 「保守地盤」といわれてきた農協や医師会、業界団体で“自民党離れ”がおきています。

 「中日」4月3日付は7月の参院選をめぐり、自民党を支持してきた中部6県の農協・医師会など7業界42団体のうち比例代表で自民党支持を決めたのは13団体(07年参院選は37団体)にとどまると報じています。

 愛知県でも自民党を長く支持してきた愛知県農協中央会(JA愛知)の政治団体、愛知県農政連盟は今年の参院選で特定の候補者を支援せずに自主投票を決めました。

 同じく前回の参院選や昨年の総選挙で自民党を支援した愛知県医師会の政治団体も自民党支持を打ち出せなくなっています。

 土地改良事業組合の政治団体は1999年に4500人の自民党員(自民党愛知県土地改良支部)を誇り、国政、県政に大きな影響力を持っていましたが、08年は1000人に。来年の県議選には組織内候補の擁立が困難視されています。

日本共産党の農業政策骨子

◆民主党政権の戸別所得補償制度の問題点
 低すぎる補償の水準、放置される米価の暴落、転作作物への補助の削減、輸入自由化と一体、農業予算全体を削減し、必要な予算を切り刻む
◆農家が安心して、生産にはげめる施策こそ、農業再生の土台
(1)価格保障を中心に所得補償をくみ合わせる
(2)輸入自由化・拡大に反対し、「食料主権」を保障する貿易ルールをめざす
(3)新規就農者支援法の制定など担い手の確保・育成に国をあげて取り組む
(4)農業予算を1兆円増額すれば、自給率50%を実現できる
◆農業再生に向けた広範な国民の共同で、農政を前に進めよう