愛知民報

【10.03.14】地域職業訓練センター存続を 雇用拡大に貢献 民主党政権が廃止方針

方針転換

商業訓練の状況を聞く(右から)もとむら伸子、かわえ明美の両氏
 厚生労働省は全国83カ所(愛知県内5カ所)の地域職業訓練センターを2010年度末で廃止する方針を決定しました。

 同センターの廃止について厚労省は昨年3月、一定基準(年間利用者が政令市など都市部2万4000人、その他1万7000人)を満たすセンターは存続し、未達成のところは廃止すると決定。昨年9月に発足した鳩山政権は「事業仕分け」の検討を経て、昨年12月に全施設を廃止し、希望自治体に譲渡する方針に転換しました。

地域振興

 地域職業訓練センターは、地域の中小企業労働者や求職者を対象に、建設、土木、板金、パソコンなど地域産業に合わせた技能向上、資格取得の訓練をおこなっています。

 一宮地域職業訓練センターでは、繊維産業の技術継承のため、縫製関係で働く中堅社員を対象に服飾美学や流行分析の講座を設けています。海外研修生を対象に日本語教育や日本生活の研修も実施しています。

 同センターで研修を受けた織物会社の社員は「最新技術が学べる。地域振興に必要な施設」と話しています。

 豊橋地域職業訓練センターでは、港湾運送事業所で働く人たちを対象に、クレーン運転や酸素欠乏・硫化水素危険物作業主任者の技能講習など、港湾労働者の能力向上に当たっています。

 豊橋港近くの運送業者は「景気の悪い中、安い講習料で助かる。廃止されると料金の高い民間施設で講習を受けなければならない」といいます。

雇用創出

 日本共産党のかわえ明美参院比例予定候補、もとむら伸子愛知選挙区予定候補は4日、愛知県高浜市の衣浦地域職業訓練センターを訪問。江口伴弘所長らと懇談しました。

 同センターは1989年に開設。地場産業の瓦や障害者の職業訓練、フォークリフトの運転免許取得などの講座を開き、利用者の就職を支えるなど地域産業に重要な役割を果たしています。

 かわえ候補らが「民間に出来ない内容の講座を開き、職業訓練や雇用創出をおこなってきたセンターを存続させなければなりません」と話すと、江口所長は「雇用創出は地域経済の基盤です。政府は考えてほしい」と答えました。

政府交渉へ

 県内5カ所のセンターのうち、愛知、一宮、岡崎は国が昨年3月に定めた基準値を超える利用者があります。厳しい雇用状況のもと、技能獲得は、新たな雇用確保に欠かせません。

 日本共産党愛知県委員会は18日、地域職業訓練センターの廃止撤回を求め政府交渉を予定しています。

【地域職業訓練センター】

 厚生労働省所管の独立行政法人「雇用・能力開発機構」が全国に設置している施設。愛知県の地域職業訓練センターは愛知地域(名古屋市西区)、一宮地域(一宮市)、岡崎地域(岡崎市)衣浦地域(高浜市)、豊橋地域(豊橋市)の5カ所。