愛知民報

【10.03.14】名古屋市 河村たかし市長の市議定数半減案 死票・無投票・「1票の格差」

 名古屋市の河村たかし市長は9日、市議の定数を半分に減らす「議会改革」案を市議会に提出しました。市長との質問戦をおこなった日本共産党の田口一登議員に定数削減をどう見るかを聞きました。

2007年県議選結果が実証 民主主義に逆行

 河村市長の言うように市議定数を75から38に減らすと、16区中9区が定数1か2になります。市長は「県議の選挙区に準じ」と言いますから、私は市内で1人区・2人区が12選挙区ある愛知県議選の2007年の結果を調べました。

 すると、民主主義に反する3つの問題点が浮かび上がってきました。

 第1は、議席に結びつかない「死票」が大量に生み出されることです。

 07年県議選の「死票」率は、定数1の東区で42・1%、定数2の千種区でも39%にのぼっています。県議選の市内の「死票」率は平均18・8%。同時に行われた市議選の11・6%を大きく上回っています。市長の定数半減案は、「死票」を大量に生み出し、民意を切り捨てるものです。

 第2の問題は無投票です。

 07年の県議選では、5選挙区が無投票になりました。定数1ないし2の選挙区では2大政党が議席を独占するため、それ以外は立候補をためらう傾向が生まれるのです。1人区・2人区では競争が排除され「指定席」になっています。

 第3は、定数半減は「1票の格差」を広げるという問題です。

 市議の現行定数で「1票の格差」は、最小の昭和区にたいし中区が最大で1・35倍です。市長案では、最小の千種区にたいし最大は港区の1・49倍。現行より「1票の格差」が広がります。

 市長案は、法の下での平等という民主主義の原則をくずすものです。

市長の強権化にもつながる

 最近、「河村サポーターズ」の代表を辞任された元御嵩町長の柳川喜郎さんは定数半減は「ファッショ的」と批判しています。

 市長は、地域委員会を「ボランティア議会」だと言って定数削減を正当化します。しかし、この論法には道理がない。なぜなら、地域委員会は議会ではないからです。地域委員会は市長の行政機関に過ぎません。ほんものの議会のような議決権や行政監視権はありません。

 市長が「議会改革」に名をかりて民意を切り捨て、民主主義を破壊し、強権政治をねらうファッショ的なやり方を阻止するため全力をあげます。