愛知民報

【09.11.08】県内の特別養護老人ホーム 入所待ち2万人に迫る(2008年)

増設、計画の6割

 介護保険制度が始まって10年。介護保険施設の不足や特別養護老人ホーム(特養ホーム)の入所待機者の増大が大きな問題になっているなか、愛知県の介護保険施設の整備の遅れが明らかになりました。

 厚生労働省が9月に発表した介護保険施設と居住系サービスについての整備計画と実績調査(09年3月末時点)によると、愛知県では2006年~08年度に特養ホームを2070床増やす計画でしたが実際に増えたのは1295床にとどまりました。達成率62・6%は全国平均(73%)以下。介護老人保健施設は359床に対し166床(達成率46・2%)。

 介護療養型病床は愛知県内で277床の増床計画を立てていましたが、逆に1004床減少しました。自公政権の療養型病床削減計画によるものです。

 愛知県は整備計画自体が必要数に対して不十分なものですが、整備の遅れによる特養ホーム待機者が急増しています。

 愛知県社会保障推進協議会は毎年、各自治体に対し特養ホーム待機者数をアンケート調査しています。

 05年は1万3702人。3年間で5689人増え、08年は1万9391人になりました。08年調査では3自治体が未回答のため2万人近い待機者がいると予想されます。

問われる介護保険

 名古屋市南区の女性(59)は、認知症の義父(75)を半年の介護休暇を取り介護してきました。

 休暇に入った5月から入所施設を探すため病院や区役所に相談に行きましたが、名古屋市内はもちろん市外でも見つかりませんでした。休暇が切れる11月目前に一宮市の介護老人保健施設に空きができ、入所できることになりました。

 女性は「幸いに半年で入所施設が見つかりましたが、入所できなかったら仕事を辞めて介護しなければなりません。国や自治体は早急に施設整備をしてほしい」と話します。