愛知民報

【09.09.06】今年の原水爆禁止世界大会 核廃絶へ転換点に

愛知県原水協 沢田昭二理事長

 今、広島と長崎の原爆投下以来続いた核兵器によって脅される時代を終わらせ、新しい時代の扉が開かれようとしています。今年の世界大会はまさに歴史の転換点に立って開催されました。

 世界大会長崎の閉会総会には7800人が参加し、元気と熱気と感動にあふれました。来年5月の核不拡散条約検討会議に向け、「核兵器のない世界を」の署名運動などで草の根のうねりをつくりだし、核兵器も戦争もない、平和で公正な世界に向かう時代を切り開こうと誓い合いました。

 私は8月2日神戸で開かれた世界大会科学者集会から長崎の閉会総会まで通して参加しました。この中で、オバマ米大統領が宣言した「核兵器のない世界の平和と安全を追求する」ことを実行させ、核兵器のない世界を実現する上で、「核抑止力」論を克服する日本の運動の役割がきわめて重要であることが明らかになり、大会の「宣言」と「呼びかけ」に盛りこまれました。

 オバマ大統領が「核兵器を使った唯一の国として行動する道義的責任がある」と述べたことは被爆地の広島・長崎でも歓迎されています。しかし、アメリカでは、オバマ大統領の言動に抵抗する勢力も根強く、またオバマ大統領自身も「核抑止力」論と「拡大抑止」論にとらわれています。

 「核抑止力」論、すなわち核兵器によって平和が維持できるとする考えや、核兵器で守ってもらうという「核の傘」の考えは、核兵器のない世界の具体化に大きな障害になります。

 「核抑止力」論は核兵器使用の可能性を前提にしています。アメリカが「核抑止力」論から抜け出すためには、被爆者の証言や原爆展などによって米国民に被爆の実相を伝え、核兵器は決して使用してはならない「道義的責任」の意味を深く理解してもらわなければなりません。

 「拡大抑止」論は「核の傘」として、日本と深くかかわっています。日本では、核兵器をつくらず、持たず、持ち込ませずの非核三原則が国是とされてきました。ところが、「核の傘」に基づいて「核密約」が結ばれ、「持ち込ませず」は有名無実にされました。
 日本政府はオバマ大統領に「核の傘」の継続を求め、核兵器のない世界に向かおうとする足を引っ張っています。「核の傘」からきっぱりと抜け出し、非核三原則と平和憲法の基本原則をきっちり守る日本政府の実現が核兵器のない世界をつくるために必要であると確認されました。