愛知民報

【09.05.17】福祉・介護サービス停止 障害者・高齢者「あまりにむごい」

 自治体が住民税や保険料を滞納している障害者や高齢者にたいし福祉・介護などの行政サービスを停止する懲罰的な措置を強めていることに、「弱者の生存権を奪う」との批判がでています。

 半田市は今年4月から、個人・法人市民税、固定資産税、都市計画税、軽自動車税、国民健康保険税、後期高齢者医療保険料、介護保険料の滞納者を対象にした行政サービスの停止措置を福祉・介護・教育関係にも広げました。

 同市の市税の収納率は1998年度の98・4%をピークに減少に転じ、05年度には97・56%に下がりました。

 市は昨年4月に「市税等収納向上対策本部」をもうけ、徴収強化に乗り出しました。

 同市はこれまで、滞納者に対し預金、不動産、軽自動車、売掛金の差し押さえのほか、経営資金などの融資申込みや市営住宅入居申請を受理しないなど28事業に制限を設けていました。

 今年4月からは、さらに28事業を加え、福祉・介護・教育分野(別表)のサービスや助成金の停止に踏みこみました。

 市は「身体的、経済的弱者の場合は納付誓約の提出や確実な納付が見込まれるなら配慮する」と説明していますが、「弱者にむごすぎる」の声があがっています。

 障害者の路線バス運賃やタクシー代助成停止は、障害者の社会活動の制限につながります。65歳以上の低所得高齢者世帯への電磁調理器、火災報知器、自動消火器の給付停止は災害防止の趣旨に反します。

 私立高校授業料補助打ち切りは、生徒の退学につながるおそれがあります。

 「おどし」ともとれる懲罰的なサービス停止で収納率が多少上がっても、滞納の背景にある今日の深刻化する貧困問題の解決になりません。

 日本共産党半田市議団は3月議会で「生存権を侵害するおそれのある事業は停止対象からはずすべきだ。拙速な実施に再考を求める」と主張。経済危機から市民の生活と営業を守る施策の拡充を求めています。

半田市が市税等滞納者を対象に停止する福祉・介護・教育サービス事業(新規)

障害者(児)バス運賃扶助
障害者(児)タクシー料金助成
身体障害者自動車改造費助成
身体障害者自動車運転免許取得費助成
身体障害者住宅改造費助成
障害者高額サービス費支給
住宅改造費助成
福祉用具一時貸出貸与
介護用品支給
老人日常生活用具給付
外出支援サービス
寝具乾燥クリーニング
在宅寝たきり老人等理髪
在宅高齢者ホームヘルパー派遣
老人福祉電話貸与
予防接種(インフルエンザ)自己負担金助成
各種がん検診自己負担金助成
私立高等学校授業料助成

児童手当差し押さえは違法 佐々木憲昭衆院議員質問に財務大臣答弁

 日本共産党の佐々木憲昭衆院議員は4月17日、衆院財務金融委員会で、地方税の滞納を理由に税務当局によって児童手当が差し押さえられた事例をとりあげ「違法な差押えだ。直ちに調査し是正せよ」と求めました。

 与謝野馨財務大臣は「児童手当は、子どもの養育に使うという目的に達せられるべきものだ」と答弁し、同手当の差し押さえが違法との認識を示しました。