愛知民報

【08.11.09】設楽ダム建設やめよ 全国集会 全国の「脱ダム」合流

 “脱ダム”の流れが新たな展開を見せるなか、国土交通省が愛知県東三河地方の設楽町内に建設を計画している設楽ダムに反対する全国集会が11月2、3両日、建設予定地に近い新城市内で開かれました。
 

 国交省が熊本県に建設を計画する川辺川ダムに知事が反対を表明し、淀川水系4ダム計画について同省の諮問機関である流域委員会が適切でないと判断しました。こうした脱ダムの新しい流れをつくり出してきた運動団体代表ら150人が全国集会に集まりました。

 設楽ダムは総貯水量9800万トン、水道・農業用水の確保、洪水調節、河川の流水機能維持を目的とする総事業費2070億円の大型多目的ダムです。

 国交省は先月27日に設楽ダムの基本計画を告示しましたが、全国集会は「設楽ダムの建設を止め、みどりの流域圏づくりをめざす宣言」を採択。設楽ダムは不必要との結論を同省に突きつけました。

 設楽ダムの建設中止を求める会代表の市野和夫さん(元愛知大学教授)は、東三河地方の“水余り”、洪水調整は代替措置で可能、河川の正常な流水機能の阻害、三河湾の水質悪化など設楽ダムの問題点を指摘しました。

 全国集会では「洪水調節の効果もなく、水の買い手もないダムは必要ない」「自然破壊のダムづくりでなく、自然との共生をすすめるべき」など、設楽ダム反対の活発な意見交換がおこなわれました。

 設楽ダム建設予定地には天然記念物の川魚ネコギギが生息しています。国交省は昨年、ネコギギの稚魚100尾を建設予定地外に放流しましたが、今年、生存が確認されたのは1尾だけ。移植実験は失敗しました。

 下流域の自治体議会では日本共産党議員が設楽ダム建設と下流の住民負担に反対する論陣を張っています。

 中日新聞は10月31日付に、「建設ありきでは駄目だ」と題する社説を出し、設楽ダム建設に異議を唱えました。

 設楽町では建設の是非を問う住民投票条例の制定を求める直接請求が成立し、現在、同町議会で同条例案が審議されています。

 町長と議会は、同町有権者の3人に1人が署名した直接請求の意義を重く受け止め、住民投票で是非を問うべきでしょう。