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春日井 航空自衛隊最大の弾薬庫基地内の火災

指揮は 避難先は 消防マニュアルなし

周辺の住民に不安

2002年4月22日 「しんぶん赤旗」

今もフェンス内(向こう側)に燃えたあとが残る自衛隊高蔵寺分屯基地=春日井市

 今月5日夕方、愛知県春日井市の航空自衛隊高蔵寺(こうぞうじ)分屯基地内の山林に延焼した火事で、同市消防本部側も自衛隊側も、基地周辺や基地内で起きた火災の消火や住民避難についてのマニュアルがないことが日本共産党や平和委員会の申し入れで明らかになりました。基地内には多数の弾薬庫があるだけに住民を不安にさせています。(愛知県・北田幸宏記者)

基地内山林に燃え広がり

 火事は、同基地に隣接する宅地造成中の場所で発生、おりからの強風にもあおられ、基地敷地内の山林に燃え広がり、約1・1ヘクタールを焼失しました。平和委員会によると弾薬庫まで数十メートルだったといいます。現地は大規模な高蔵寺ニュータウンの一角で、基地の周りにも住宅が建ち並んでいます。

 日本共産党尾張中部地区委員会、同春日井市議団と柳沢けさ美同市県政対策委員長は18日、同市と自衛隊基地にそれぞれ、弾薬庫火災に備え、相互に十分な連絡体制をとること、消火・住民避難マニュアルの整備、十分な消防力の確保、基地フェンス内の防火緩衝帯の拡大、弾薬庫の撤去などを申し入れました。愛知県と春日井市の平和委員会も同様の申し入れをしました。

“治外法権”の自衛隊基地内

 市の消防車十数台も基地内に入り、消火にあたりました。しかし、共同で消火作業をする場合、どちらの誰が指揮をとるのかは決まっておらず、今回もそれぞれで指示をだしていました。自衛隊では巡回中の警備隊員が火事を発見、消防無線でもつかんでいましたが、これらを市消防本部は知りませんでした。

 市消防本部の河村定弘消防長は「基地内の弾薬量や防火水槽がどこにあるのかなどの消防体制は知らされていない。いわば治外法権だ」と話します。

 航空自衛隊高蔵寺分屯基地の小林正信総務課長は「今回の火事は昼間で発見が早く、場所も特定でき、帰宅前の隊員を動員できた。市とも話して改善できることはやりたい」と話していました。

市民に安全に撤去が不可欠

 県平和委員会の岩月康範事務局長は「市街地のそばの弾薬庫。市として実態がわからず、共同で対応するマニュアルもないのでは、市民の安全を守れない。弾薬庫の撤去が市民生活の安全にとって不可欠だ」と指摘しました。

自衛隊高蔵寺分屯基地に申し入れる日本共産党の内田謙(右2人目)、伊藤裕規(左端)両市議=春日井市

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