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【05.01.23】「国民保護」の名で戦争動員体制づくり 
米軍支援ねらう 愛知県 2月議会に関係条例提出へ 
日本共産党前愛知県議 林のぶとし

1月23日「愛知民報」

 「国民保護」の名で、県民を戦争に動員する体制づくりがすすんでいます。愛知県は、2月定例県議会に「国民保護対策本部」「国民保護協議会」を設置するための条例案を提出し、来年度には「国民保護計画」を策定する方針です。
 政府は昨年12月14日、地方自治体に作成を義務づけている「国民保護計画」の基準となる「国民保護に関する基本指針」の要旨を公表しました。
 「基本指針」は、日本への武力攻撃事態として「着上陸侵攻」「ゲリラや特殊部隊の攻撃」「弾道ミサイル攻撃」「航空攻撃」の4つのケースを想定。その際に、避難、救援など自治体がとるべき措置を示しています。
 「基本指針」は日本への武力攻撃を現実の脅威のように描いていますが、これは非現実的です。政府が12月10日に閣議決定した新「防衛計画の大綱」もわが国にたいする「本格的な侵略事態生起の可能性は低下している」と認めています。「武力攻撃事態」とは現実には日本周辺で米軍が戦争を起こし日本の自衛隊がこれに参戦したときです。

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 昨年6月に成立した有事法制には「国民保護法」とともに「米軍行動円滑化法」がふくまれています。日本が攻撃をうけていない段階から米軍の戦闘行動が「円滑かつ効果的」におこなえるよう地方自治体や民間企業を動員し米軍を支援することが有事法制全体のねらいです。
 「住民避難」について、自衛隊幹部は太平洋戦争の沖縄戦の住民避難を例にとり「基本的には戦場にいては邪魔になるものを立ち去らせることが目的」とのべています(鳥取県「国民保護担当市町村職員教育訓練」)。避難とは戦争災害から住民を守るのでなく、軍事行動円滑化のための住民排除にほかなりません。
 行政の措置には、所有者の同意なしの土地利用や物資の強制収用など国民の基本的人権を制限する内容が含まれています。
 「指針」が自治体に自衛隊と「平素から連携体制を構築」し「共同の訓練の実施」を求めていることも重大です。これは平時からの戦時訓練といえます。

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 愛知県は2004年度に、防災局に国民保護計画の作成や運用を担当する「危機管理グループ」を新設しました。
 国民保護協議会は知事を会長とし、副知事、教育長、県警本部長、自衛官、学識経験者で構成され、国民保護計画などを審議します。国民保護対策本部は知事を本部長とし、国民保護計画推進の総合調整に当たるとされ、自衛官の配置が予想されます。
 政府は05年度に市町村の国民保護モデル計画を提示する予定といわれますが、都道府県の国民保護計画の作成段階からこれに連携・協力し作成準備をすすめるよう求めています。
 愛知県は昨年7月、市町村の担当者を集め「市町村国民保護法説明会」を開いており、市町村の計画づくりも事実上はじまっています。

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 瀬戸市などでは12月定例議会で、職員の災害派遣手当条例に「武力攻撃災害等派遣手当」を加える改正がおこなわれました。
 愛知県は軍需産業の集積地であり、小牧基地は海外派兵の拠点となっています。これらの軍事機能と有事体制のかかわりに注意する必要があります。
 戦争動員体制づくりは戦争放棄の憲法の立場に反し、アジアの軍事緊張を高めるものです。憲法9条を生かしアジアの平和・友好関係を築くことこそ最大の安全保障であり、世界の人々が日本に求めていることです。戦争準備の有事法制の具体化を阻止する世論喚起と運動が求められています。

 

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