ニュース

コロナ禍 支援みるみる 外国人実習生ピンチ→相談したのは共産党

 「困った時は日本共産党に相談を」―。愛知県岡崎市では、新型コロナウイルスの影響で帰国できず困り果てていた外国人技能実習生が一縷の望みをかけて相談したのが日本共産党市議団でした。本村伸子衆院議員や労働組合、地域住民へと支援の輪が広がっています。

 中国人男性3人が岡崎市役所を訪れたのは6月4日午後でした。

 「鈴木さんに会いたい」。かなり切迫した状態で、分かったのはこの一言でした。中国語の分かる市職員が応対し、共産党の鈴木雅子市議に面会を求めて来たことが分かりました。

 党市議団控室にいた鈴木議員と新免悠香議員が、通訳を介して事情を聞くと、3人は岡崎市のトヨタ自動車下請け企業の元技能実習生でした。

通訳アプリを活用して中国人技能実習生と対話する鈴木市議(左)=6月25日、愛知県岡崎市内

外国人技能実習機構・名古屋事務所に行く技能実習生(右)と同行する本村議員(左)=3日、名古屋市内

■ 冷たい企業

 2017年5月に来日し3年間、プレスや溶接作業に従事。4月末に実習が終了しました。しかし、コロナの影響で8月まで航空便の席がとれず、帰国できない状態です。「収入もない中で企業や監理団体に相談しても生活費を出してもらえず困っている」とのこと。

 元実習生は全員で24人。山東省や甘粛省、内モンゴル出身の20~30代。現在も会社が借り上げたアパートに住んでいます。

 実習中の給料は手取りで月12~15万円。実習終了後すぐの帰国予定だったため、貯金は4月15日に母国に送金。手持ちの資金がほとんどなく、最後に受け取った給料と10万円の定額給付金で何とか生活しようとしていたところでした。

 受け入れ企業と監理団体は技能実習終了後のアパート滞在を認めたものの、帰国するまでの生活費の保障は行っていませんでした。

 元実習生は、どこに相談していいのかも分からず途方に暮れました。そこで思い出したのが、以前、岡崎市にいた中国人留学生の言葉です。「困った時は日本共産党に相談を」。

■ SNS駆使

 党市議団には当時、コロナ関連の電話相談が1日4~5件あり、「携帯電話が手放せない状態」でした。それでも「党のネットワークを活かして出来る限りの支援につなげよう」と奮闘が始まります。中根よしあき市議予定候補や木全昭子前市議も生活相談などを分担し、市議団を支えます。

 鈴木議員はまず、長年、外国人技能実習生を支援してきた愛知県労働組合総連合(愛労連)の榑松佐一前議長に相談します。

 実習生から境遇を聞いた榑松氏のアドバイスを受け、鈴木市議は外国人技能実習機構・名古屋事務所に通報。監理団体と企業が責任を果たすよう求めました。

 通訳を申し出た女性や実習生がすぐさまライングループを立ち上げ情報を共有。ブログやフェイスブックでの情報発信も行われました。

 日本共産党の本村伸子衆院議員も、鈴木議員から連絡を受け、実態改善へ動きます。

 本村議員は6月14日、鈴木市議とともに、実習生のアパートで実情を聞き、雇用保険についてすぐさま厚生労働省に確認。元実習生でも失業給付を受給できることが分かり、実習生は24日に失業給付を申請しました。

 ただ、企業と監理団体から帰国するまでの生活費として支給されたのはわずか「月5千円」に過ぎません。

 「これでは生活できない」と党市議団は、地域の党員に緊急メールを発信。「しんぶん赤旗」日刊紙にも状況を知らせるニュースを折り込み、物資やカンパを募りました。すると、数万円のカンパやマスク、缶詰、乾麺、野菜などが次々に寄せられました。

 新免議員は、「党西三河地区委員会に行くたびに寄せられた食料や物資が机の上にあふれていました。思っていたよりも協力してくれる人が広がっています」と話します。

 日中友好協会豊田支部からはお米や野菜、近くの中華料理店からはお弁当も送られてきました。

 支援に協力した岡崎市の女性(73)は、「8月まで帰国できず、『月5千円』の生活費と聞いて驚いた。私にも出来ることをと、夫と二人でカンパを寄せた」と話します。

中国人技能実習生に寄せられた物資

■ 出会いが力

 多くの人が支援していることを知った、甘粛省出身の実習生(27)は「どうしていいか分からなくて困っていた時に力になってくれて本当に感謝したい」。

 中国語の通訳は大学教員など地域の有志も参加し行っています。通訳できる人がいない時は通訳アプリも活用します。

 実習生は今、鈴木市議らの支援も受け、3カ月分の生活費を求めて、企業と監理団体と交渉を重ねています。実習生のリーダー(26)は、「困難はあるけれど完全に悪いことばかりではないです。鈴木議員への相談から地域の人や通訳、労働組合、国会議員の皆さんに出会う事ができ、それが大きな力になっています」。

 本村議員は、出入国在留管理庁や外国人技能実習機構にも実習生の救済を求めて要請を続けています。

 「失業給付は受けられないと誤った説明をしてきた監理団体や受け入れ企業は、元実習生の生活保障をし、国も責任を果たすべきです。技能実習生を安価で働かせて、その後は知らん顔をするような労働者使い捨ての世の中を変えていきたい」

(7月6日 しんぶん赤旗)