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安保法制 耐えがたい 違憲訴訟 僧侶ら意見陳述

裁判後の集会で報告する原告の(右から)石川、磯貝両氏と弁護団=12日、名古屋市中区

 安保法制は違憲だとして、東海地方の221人が国家賠償請求を求めた「安保法制違憲訴訟」の第4回口頭弁論が12日、名古屋地裁(末吉幹和裁判長)で行われました。

 2人の原告が意見陳述しました。浄土真宗住職の石川勇吉さん(70)は、父は僧侶の傍ら、大政翼賛会に参加し、地域の青年を立派な軍国青年に育て上げることを誇りにしていたことをあげ、「父は敗戦後、青年の位牌や被爆後の広島を目の当たりにし、己の弱さと釈尊の教えを裏切ってことを深く恥じた。己を責める父の姿は忘れることはできない」と強調。「憲法9条はその父を励ますものだった。安保法制は、9条を空文化し、日本を『戦争する国』に変えるもの。私の心は大きくかき乱され、耐えがたいものになっている。安保法制への違憲判決を強く願います」と訴えました。

 半田空襲(1945年7月24日)被災者の磯貝治良さん(81)は、自宅の防空壕(ごう)で米軍機の空襲におびえていたことを紹介。「戦争は被害者、加害者両方を不幸にする。敗戦後、裁判所および裁判官の戦争責任はほとんど問われてこなかった。司法の戦争責任、戦後責任を果たすとは、違憲立法審査権を正しく行使すること。裁判所は政治権力の思惑に左右されることなく、毅然たる態度を持って違憲の判断を下し、司法の良心と正義を示してほしい」と話しました。

 中谷雄二弁護士は、「違憲立法審査権を有し、憲法秩序を守る最後のとりでとしての任務を託された司法権には、その付託に応える義務がある。国民に託された権限を正しく行使してほしい」と強調しました。

 報告集会には約100人が参加。松本篤周弁護士は、自衛隊を合憲とする憲法改正に触れ、「必ず阻止しなきゃいけない。参院選で改憲勢力に3分の2議席をとられたら改憲される。立憲野党の勝利が不可欠。裁判と同時に選挙でもたたかおう」と語りました。

(6月15日 しんぶん赤旗)