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保護基準下げ容認せず 元社保審査部会座長代理が証言

原告や支援者らを前に証言内容を報告する白井氏=10日、名古屋市中区

 生活保護基準引き下げは憲法25条の理念に反するとして、愛知県内に住む生活保護受給者20人が国や名古屋市など4市を相手取り、引き下げの取り消しや国家賠償を求めた裁判(愛知生存権裁判)の第2回証人尋問が10日、名古屋地裁(角谷昌毅裁判長)でありました。

 厚労省社会保障審議会生活保護基準部会座長代理だった岩田正美日本女子大学名誉教授、元中日新聞記者の白井康彦氏が証人として出廷。岩田氏は、生活保護基準が「デフレ調整」により、専門家でつくる基準部会の審議とは別に大幅削減されたことは遺憾だと強調。「部会は引き下げを容認しておらず、財政削減のために専門家の意見が利用された。保護基準は様々な制度に波及するもの。裁判所は適切な判断を」と証言。

 白井氏は、国が保護費削減の根拠にする2008~10年の生活扶助相当CPI(消費者物価指数)の下落率の算出方法について「意図的にゆがめられ、過剰に削減された」と陳述しました。

 公判後の報告集会には支援者や全国各地の原告や弁護士ら150人が参加し、会場は満席。内河惠一弁護士は「国の反対尋問もほとんどない。我々の証言は的を射ており、反論できない。名古屋は判決が全国で一番早く、注目されている。しっかりとたたかいたい」と話しました。

 第3回証人尋問は10月24日に行われます。

(10月12日 しんぶん赤旗)