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同意なく風力発電施設住宅近くの建設やめて 規制条例求め直接請求運動

条例制定に向けて住民直接請求など説明する谷口会長=24日、愛知県美浜町

 愛知県美浜町で、住民の同意がないまま小型風力発電所が建設されていることから、住宅近くの建設を規制す住民直接請求の運動が始まっています。

 美浜町では昨年、民家の近くで突然、小型風力発電の工事が始まったことから、住民らが連携して「美浜町の風力・太陽光発電を考える会」を結成。建設中止を求める署名2323人分を提出し、町議会では規制条例を求める請願が全会一致で採択され、7月には町のガイドラインが作成されましたが、法的拘束力がなく結局は建設されてしまいました。

 同会は、直接請求の署名活動協力者を募集しようと、2月24日に2回目の集会を開き20人が参加しました。

■ 事業者対話拒む

 谷口義則会長は、「騒音による睡眠障害など健康被害、景観破壊、バードストライクなどの自然環境への影響など懸念があるにもかかわらず、事業者は対話を拒否し、説明しないまま建設した」と述べ、現在1基が建設され、1基が建設途中だと説明しました。町内には11基の建設が認定されていると指摘し、「住宅や病院が300メートル以内のところもある。無軌道な建設を止めるためにも条例は必要不可欠だ」と強調しました。

 助言者の伊藤達哉弁護士は、「住民の要望で、町にガイドラインはできたが、法的拘束力はない。条例ができれば、順守義務が発生する。問題解決の足掛かりになる条例にするために、多くの人に知ってもらいたい」と話しました。知多半島を中心に展開している「まるは食堂」の坂野豊和代表があいさつしました。

 谷口会長は、4月22日~5月21日にかけて署名を収集し、5月末に役場に提出するとして、「有権者50分の1以上の法定署名が必要。すべての町民によびかけたい」と話しました。

■ 健康被害が心配

 受任者となった水谷朝子さん(54)は「この町で生まれ育った者として、住民無視の建設はやめさせたい。風力発電建設は知多半島の西海岸が多く、東海岸との温度差もある。条例を制定させるために、議員にインパクトを与える数を集めたい」と話します。25年前に美浜に移住した男性は、「自然や景観が気に入り、移住した。健康被害や町の景観がどうなっていくのか心配。それぞれの地域で受任者を増やして、広く町民に訴えよう」と呼びかけました。

 

(3月2日 しんぶん赤旗)