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外国人実習生の駆け込み寺11年 愛労連 SNS使い相談

 外国人技能実習生の過酷な労働実態が続くなか、愛知県労働組合総連合(愛労連)は10年以上、外国人実習生の相談活動に取り組んでいます。

 きっかけは、2007年5月、トヨタ自動車の下請け企業で働く外国人研修生(当時)が愛労連に助けを求めてきたこと。1年目は労働基準法が適用されず、最低賃金を下まわる低賃金、違法な長時間労働、休日割増や残業代も払われず、けがをしても労災保険を適用せずに強制帰国させるなどが多発していました。愛労連には2年で100件、500人もの相談があり、国に制度の改正を働きかけました。

 その後、2010年に労働基準法が全面適用されるよう制度改正がおこなわれました。

■ 言葉の壁

 しかし、日本語能力が十分でない上、日本の制度や相談先をよく知らない外国人実習生も多いため、愛労連はSNSを使い、相談を受け付けてきました。この事例を国会で取り上げてもらい、昨年11月には、受入れ企業の監督強化と、外出の自由や強制帰国禁止などの実習生保護を盛り込んだ「技能実習法」が施行されました。外国人技能実習機構(OTIT)のホームページでは母国語相談が始まりました。

 名古屋市中区で開かれたベトナムフェスティバル(7日、8日)では、日本ベトナム愛知県連と協力し、会場の一角に「外国人実習生相談」を開きました。県内の実習生は約2万8千人。ベトナム人は約1万人います。当日は400人を超える外国人が訪れ、ベトナム語で書かれた、母国語相談パンフを受け取り「何か問題があった時に役立てます」と大事そうにカバンに入れていきました。

■ 行政連携

 愛労連議長の榑松(くれまつ)佐一さんは「実習生が不正を行政機関に訴えることが出来ない大きな壁が言葉です。最近はフェイスブック『外国人実習生相談室』では、外国人ボランティアの協力をえて相談を入管、労基署につないでいる」と語ります。

 ベトナム人女性が「お世話になりました」と言って相談会場を訪れました。岐阜県の縫製企業で働いていたときは「月給6万円、残業代時給400円」でした。友人の紹介で愛労連の相談活動を知り、榑松さんらの奮闘で未払い賃金が支払われました。現在、福井県内の縫製工場で働き、「今は良い状況で働いています」と嬉しそうに話しました。

 愛労連は、「相談者の国別ではベトナム、フィリピンだけでなく、ミャンマーやカンボジア人からの相談もある。以前は縫製業が多かったが、最近は農業、建設業が増えている」といいます。

 国は昨年、実習生を人手不足が深刻な介護職に解禁しました。

 榑松さんは「日常会話は理解できても、介護の専門用語や高齢者の方言(名古屋弁)は理解できないと思います。2年目からは夜間体制にも入ることになっていて心配です。何かあれば外国人技能実習機構にすぐに相談してほしい」と話します。

(4月28日 しんぶん赤旗)