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障害児と暮らす一家 生き抜く姿を「劇団名古屋」が創作劇

 「私、あんたたちを育てたと思ってたけど、ほんとはあんたたちが私を育ててくれてたのね」―。劇団名古屋が創立60周年記念として25、26両日に上演する創作劇「あ・り・が・と」の主人公は「障害者(児)を育てる会」の女性です。

 港区に暮らす障害児を抱える磯野里美一家を中心に、就学拒否、いじめなどいくつもの困難にぶつかりながらも生き抜く姿を描いています。誰にも学ぶ機会を保障し、誰もが働き暮らせる場をつくるため、立ちふさがる壁を突き崩していこうとする人々にスポットライトをあてます。

 もとになったのは「港区障害者(児)とともに育つ会」の磯崎明美さんの自叙伝。テレビドラマ作家として活躍する脚本家・麻創けい子氏を迎え、劇団名古屋への初書下ろし作品です。谷川伸彦代表は「障害者と健常者は何かが違うわけではなく、ともに同じ社会で生きています。涙あり、笑いありの舞台で障害者の持つエネルギーを感じてもらい、みんなで成長できる作品にしたい」と話します。

 劇団名古屋の出演者はほとんどが労働者。仕事を終え、夕飯を食べる間もなく稽古場に駆け付けます。本番に向けて、演出の久保田明さんは細かい動きもチェック。出演者の隣に立ち、指導する手に力がこもります。「劇団は、反戦平和や一人ひとりの人権が大事にされることを願い、普通の人々が生きいきと暮らす等身大の姿を描く舞台づくりを心がけています」

 劇団名古屋は1957年5月1日に、「誰もが気軽に楽しめる、質の高い舞台を見せたい」と舟木淳さんが創設。現在、ラジオや講演など駆け回る船木さん。「私も84歳になりました。若い人たちに技術を吸収してもらい、いい芝居を作り上げてほしいね」と話し、ともに舞台づくりに力をそそぎます。

 ◇①25日(土)午後2時②26日(日)午前11時③午後3時、港区文化小劇場。入場料=一般3000円、65歳以上2700円、中高生1500円。全自由席。連絡先=劇団名古屋052(682)6014。

(11月22日 しんぶん赤旗)