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満蒙開拓団って何? 歴史の真実 青年が学ぶ

 「満蒙開拓団」って、聞きなれない言葉で、よくわからない―。

そんな青年が、うたごえの仲間とともに満蒙開拓団の歴史から学んだことを名古屋市内で報告し、平和の大切さを訴えました。

 主催したのは、うたごえサークル「東海青年のうたごえ」。今年から「社会問題も大切だよ」、「いろいろ勉強したい」と、「原爆被爆者の体験を聞く会」を開催し、8月には長野県阿智村の歴史資料館・満蒙開拓平和祈念館などを訪れる学習合宿を実施。この日の報告会には、うたごえの仲間など50人が参加しました。

 報告した伊藤美穂さん(21)は「合宿に参加するまで何一つ知りませんでした。同世代の多くの人も満蒙開拓団や中国残留孤児は言葉も含め知らないと思います」と発言。現在の中国東北部(満州)に、国策として送り込まれ、敗戦直前に日本兵から置き去りにされ、多くの人が犠牲になったことを知りました。「“豊かになる”とだまして送り込み、挙げ句の果てに捨てるなんて、人格が崩壊しているとしか思えない。戦争が起こったら、平気で起こりうるんだと恐ろしくなりました。戦争は人を変えてしまう。二度と戦争を起こさないために、私たち若い世代が過去を受けとめ、平和な世界をつくることが大事だと思います」。

 他のメンバーも満蒙開拓平和資料館の特徴などを説明。「一つは戦争の悲惨さや愚かさ、二度と戦争を起こさないことを訴えている。二つめは当時の政府の方針、政府方針を広めたマスメディアの責任を明らかにしている。三つめは中国人の土地を奪うなど日本の加害性について触れていることです」と述べました。

 サークルメンバーで日本共産党名古屋市議の高橋ゆうすけ氏は「実は、伊藤さんは高校の教師をしていたころの教え子です」と紹介。「当時から、若い世代に歴史の真実を伝える大切さを感じていました。二度と戦争の悲惨さを繰り返さないため、過去の戦争で何が起こったのか、なぜ起こったのか、私たちが学ぶと同時に、体験を語り継ぐことが必要です。『戦争が近づく』雰囲気があるなか、今後も平和や戦争について、みなさんと学び、考えていきたい」と強調しました。

 フイナーレは青年らによる、うたごえのニュースタンダード曲の「その手の中に」の合唱です。平和の思いを同じくする、会場の人たちが一緒に唱和し、歌声が会場いっぱいに響きわたりました。

 報告会の後、映画「望郷の鐘~満蒙開拓団の落日」の上映がおこなわれました。

 [満蒙開拓団]
 1931年に旧日本陸軍の関東軍が起こした「満州事変」から45年の終戦までに、旧満州(中国東北部)と内モンゴルに「開拓」の名で国策として送りだされた人たち。45年8月9日旧ソ連軍が「満州」に侵攻、関東軍は開拓移民を置き去りにして逃亡しました。当時、開拓団の在籍者は約27万人。大半が老人、女性、子ども。逃避行で約8万人が命を落としたといわれています。

(11月4日 しんぶん赤旗)