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被爆者行脚始まる 支援求め全自治体訪問

 愛知県原水爆被災者の会(愛友会)は23日、被爆者支援策の充実・強化を求め、県内の全自治体(県と54町村)を訪問し、懇談する「被爆者行脚」を始めました。11月13日まで。今年で50回目。

 現在、愛知県内の被爆者健康手帳所持者数は2043人(全国10番目)、平均年齢は79・21歳(全国81・41歳)です。

 各自治体には事前に要請項目を届け、その回答求める形で懇談しています。

 初日は、恩田明彦理事長をはじめ、被爆者6人が支援者とともに愛知県庁を訪れ、関係局と懇談しました。

 恩田氏は、「国連では核兵器禁止条約を50カ国以上が批准し、発効は間近。日本政府が署名しないのは悲しく、怒りを感じる。核兵器廃絶に向け先頭に立つよう強く望む」と話しました。日本共産党のわしの恵子、下奥奈歩両県議が同席しました。

 ヒバクシャ国際署名に知事が賛同するよう要請すると、健康福祉部担当者は、核廃絶は誰もが願う共通の思いだと述べるものの、「国際情勢など踏まえた国の考え方があり、慎重な対応が必要」と回答。

 金本弘副理事長は、数年間同じ回答だ、被爆者の声がどこまで届いているのか疑問だと指摘。「全国17知事、県下22首長が賛同している。地域の運動を背景に、知事へ働きかけた職員の力がある。職員にもがんばってもらいたい」として賛同を求めました。

 金本氏は、愛友会が県内被爆者に対し、2015年に行ったアンケートを紹介。「一番心配に思うこと」は、「自身の病気とともに、2世への影響が心配」だとして、2世への健康実態調査をするよう求めました。県担当者は「国の方針を見守る」と述べるにとどまりました。金本氏は「県が把握している被爆者の子や孫に実態調査を行えば、膨大なデータが手に入る。県主導ですぐに行えるはずだ」と強く訴えました。

 参加者は、「被爆者は県内だけでも、毎年100人前後亡くなっており、不安の解決は緊急の課題。国の調査結果や方針を待たず、県独自の方針を持って行動してほしい」と呼びかけました。

 恩田理事長は、「行政職員は数年で異動してしまう。多くの職員に訴え、先輩たちが勝ち取ってきた成果を守っていくために、命あるかぎり行脚を続けていきたい」と決意を語りました。

(10月25日 しんぶん赤旗)