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隔離・差別の事実伝える ハンセン病問題シンポ

 
 ハンセン病問題を通じて平和、人権、憲法を考えるシンポジウムが20日、名古屋市内で開かれ、50人が参加しました。ハンセン病元患者の人権回復や国家賠償訴訟を支援してきた人たちでつくる実行委員会が主催。

 国立駿河療養所(静岡県御殿場市)の入所者自治会長の小鹿美佐雄さん(愛知県あま市出身)が、小学校3年生の時に駿河療養所に入所して60余年に及ぶ生活について、「入所者の扱いはひどく憲法が届いていない状態だった。医師も看護師も不足し、軽傷患者が重症患者の看護をしていた」と指摘。「療養所がついの住み家。今も医師や介護士は不足。国は最後の一人まで世話をするというが、具体的方策を示さない。『死に絶える』のを待っているとしか思えない」と怒りの声をあげました。

 全国すべてのハンセン病療養所を訪問した元日本共産党の瀬古由起子元衆院議員は、国家賠償を求める裁判支援について報告し、「国を断罪した熊本地裁判決は国際的にも広がった。個人の尊厳を規定した日本国憲法があったからこそ勝ち取ったもの」と強調しました。

 会場発言で弁護士は「隔離、差別や偏見の事実を風化させてはならない。子どもたち若い世代に真実を伝えたい」。障害者団体の役員は「ハンセン病患者に対する差別は、相模原の障害者殺傷事件など障害者差別と通じるものがある。障害者の基本的人権を制限する改憲の動きを危惧する」。内科医師は「ハンセン病のほかにも、エイズウイルス(HIV)患者への偏見・差別は今も続いている。戦前の『民族浄化、優生思想』によるハンセン病患者、障害者差別を繰り返してはならない」と述べました。

 日本共産党の、もとむら伸子衆院議員は党議員団が厚生労働省に国立ハンセン病療養所の医師不足対策を要求したことを紹介し、「全国の療養所入所者は約1500人。平均年齢は84・8歳。国の責任で介護を含め十分な対応をするよう求めていく」と話しました。

(3月25日 しんぶん赤旗)