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新日鉄住金差別で不当判決 名古屋高裁、手塚氏訴え棄却

 
 新日鉄住金名古屋製鉄所(愛知県東海市)の労働者、手塚治男氏(65)が、日本共産党や労働組合などで活動してきたことを理由に昇格・昇給で差別を受けてきたとして、会社側に損害賠償を求めた裁判で17日、名古屋高裁(孝橋宏裁判長)は原告の訴えを棄却しました。

 判決は年功序列的な昇格制度はなく、全従業員の1割は昇格していない。時間外労働(残業)が少なく非協力として「原告の主張に理由がない」としました。

 判決後の支援者集会で、手塚氏は「まったく主張が認められず会社の主張をうのみにした不当判決だ。自分が働いていた職場では病気の人を除き、一定の勤続年数に達すると全員が昇格した。他の職種を含めて比べるのはおかしい。判決は会社による思想差別について全く触れていない。怒りを覚える」と話しました。

 竹内平弁護士は「残業が少ないのは定年前の時。昇格が問題になっている若いころは相当時間の残業をしている。そもそも労働基準法は1日8時間と決めている。例外として3・6協定で残業が認められている。例外の残業が少ないとの理由での控訴棄却は不当だ」と述べました。

 支援者から「裁判所は弱い立場の労働者をも守るもの。会社のいいなりでは困る」「今後の支援や対応は相談するが、不当差別など労働者の権利を守る運動を広げていく」などと語られました。

(6月19日)