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三菱に県税30億円 愛知県議会共産党初質問、軍需優遇ただす。

 
 何でも賛成の愛知県議会に風穴を開けた―。いっせい地方選挙後初となる愛知県議会の臨時議会が25日開会。12年ぶりに議席を獲得した日本共産党県議団(2人)が知事提案の補正予算案に反対討論し、自民党が賛成討論。補正予算案を賛成多数で可決し、一日で閉会。文字通りの「自共対決」となりました。
 わしの恵子、下奥奈歩の両県議が追及したのは、は県営名古屋空港(豊山町)に、MRJ(三菱リージョナルジェット)、YS11、ゼロ戦などを展示する施設建設(総額30億円、2017年度の完成予定)です。

 本会議で、わしの県議は「YS11とMRJは三菱重工製で、県の計画は事実上の『三菱博物館』と言わざるを得ない。特定企業のために、なぜ愛知県が県民の大切な税金を30億円も注ぐのか」と批判。同空港すぐ隣の三菱重工小牧南工場内には、同じような航空機博物館があることもあげ、税金投入はおかしいと指摘しました。
 さらに、国の航空宇宙産業特区に指定されている三菱の小牧南工場では次期戦闘機F35の製造ラインも設置されるといわれていることを指摘。「名古屋空港の軍需化を進めるもの」と批判し、特区推進の県に見直しを求めました。

 下奥県議は、振興環境委員会で、ゼロ戦展示問題をとりあげ、「ゼロ戦はアジア・太平洋戦争末期には特攻隊として10代を含む若者が命を落とした戦闘機。戦争美化につながる」と追及しました。県は「展示内容は決定していない」と答弁を避け、重ねての追及に「展示施設は、ものづくり愛知のPRに有効」と繰り返すだけでした。
 下奥県議は、戦争末期に軍需産業の集中する愛知県が米軍による爆弾投下数が最も多かったと紹介、「東三河では豊川海軍工廠(こうしょう)が狙われ、名古屋大空襲では多くの人命が犠牲になった事実を忘れてはいけない。軍事企業に依存する愛知にしてはいけない」と強調しました。

 委員会の傍聴には20人超が訪れ、委員会の傍聴席は10人しかないため「久しぶりの抽選」(県議会事務局)になりました。

 本会議を傍聴した男性は「共産党が理路整然と討論したことで、他党議員に問題の所在を示すことができたと思う。ゼロ戦問題で自民党席がザワザワしたのは、痛いところを突かれたからではないか」と語りました。

(5月27日)