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名古屋リニア公聴会にJR欠席 陳述人全員が批判

 

 「巨大事業なのに欠席とは、JR東海は環境保全に真面目に向き合う姿勢がないのか」。名古屋市が行ったリニア中央新幹線の環境影響評価(アセスメント)準備書に対する公聴会(18日)で、陳述人の7人全員からJR東海への批判がだされました。
 
 名古屋市の公聴会は事業者も参加することができ、陳述人との質疑もできます。しかし、JR東海は「見解はすでに出しています」として欠席しました。同市が行った公聴会で事業者が欠席したのは初めてといいます。陳述人は、10人枠に7人が応募していました。
 
 「9兆円もかかり、社長は採算取れないと言っている。結局税金投入となるのではないか」「大量の電力消費、騒音などで市の審査会委員から懸念の声が出されている。出席して説明すべきだ」。ほとんどの陳述人が問題山積なのに欠席したJR東海を批判しました。
 
 リニア新幹線は東京から名古屋を40分で結び、名古屋市内は春日井市から名古屋駅まで地下を走ります。名古屋駅では地下30?となりますが、それ以外は地権者に補償の必要のない大深度地下(地下約40?)を通ります。
 
 陳述した藤井ひろき氏(日本共産党市議予定候補・中村区)は、大深度地下であっても資産価値下落など不動産取引に影響が出る可能性を指摘。さらに名古屋駅近くでも、「地価が上がるからといって単純によしとできない。用地買収の問題もでてくる」と主張しました。
 
 江上ひろゆき氏(同市議予定候補・中川区)も、再開発など景気のいい話ばかりで関係住民に情報が伝えられていないと指摘しました。
 
 青木あつし氏(同市議予定候補・名東区)は、居住地の名東区に広がる亜炭鉱跡にトンネルを通せば、地下水が抜け陥没の危険があると指摘。くれまつ順子氏(同市議予定候補・守山区)は山梨の実験線で実際に地下水の枯渇があったと紹介しました。
 
 酒井健太朗氏(千種区在住)は「災害時に役立つ貨物利用を考えてないなど目的に疑問がある」と述べました。
 市長は出された意見を踏まえ、知事に意見を提出。知事は県審査会の意見も踏まえてJR東海に意見を提出します。