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「浜岡原発廃炉に」 住民団体 愛知県知事に要請

 

 愛知県内の環境や公害問題にとりくむ住民団体でつくる「健康と環境を守れ!愛知の住民いっせい行動」実行委員会は23日、大村秀章県知事と話し合い、中部電力浜岡原発(静岡県御前崎市)の廃炉などを求めました。11団体の代表約20人が出席しました。

 同実行委員会は1977年以来、毎年、県知事と話し合いの場を持ち、環境施策の充実を求めてきました。

 今年のテーマは▽原発依存から再生可能エネルギーへの転換▽大気汚染対策と、ぜんそく患者の救済▽設楽ダム建設など大型開発計画の見直し―の3分野です。

住民側は、「浜岡原発は東海大地震想定域の真上にあり再稼働すべきでない。廃炉にするよう国と中部電力に働きかけてほしい」と要請しました。大村知事は「中電の安全対策(防波壁のかさ上げ工事など。2015年3月完了予定)を一刻も早く終えることが大事だ」と述べるにとどまりました。
 再生可能エネルギーについて大村知事は太陽光発電の推進と、農業用水を利用した水力発電の設置に向け、県内14カ所で調査をすすめていると説明しました。

 大気汚染問題で、住民側は、実効ある自動車排ガス対策や、大気汚染の原因とされるPM2・5(微小粒子状物質)削減のための発生源別対策などを求めました。PM2・5対策で大村知事は、自動測定機を新たに14台設置し、名古屋市の追加分とあわせて県内50台の観測態勢で調査をすすめ、結果を公表すると述べました。

 住民側は「TPP(環太平洋連携協定)交渉で、アメリカから排ガス規制の撤廃が要求される恐れがある。その場合、受け入れないよう、国にしっかりモノをいってほしい」と要請。大村知事は「日本が受け入れることはあり得ないと思う」と述べました。

 設楽ダムの建設問題では、実行委員会の野呂汎会長(弁護士)が経済的な側面だけでなく「三河湾に及ぼすマイナスの影響や、ダムが損傷した場合の対策も検討する必要がある」と述べました。大村知事は「有識者、専門家、地元の多方面の意見を聞いて総合的に判断したい」と述べるにとどまりました。
 
中部国際空港沖への、名古屋港しゅんせつ土砂の埋め立て計画について「伊勢湾全体への影響を踏まえ、知事として反対してほしい」と要請。大村知事は「しっかり国といっしょに検討していきたい」と述べました。

  参加した佐藤和衛さん(77)=南区=は「ぜん息の吸入治療のために、毎日大変な思いをして通院しています。県の公害対策はまったく不十分。一刻も早く解消し、青空を取り戻せるよう、大村知事は真剣にとりくんでほしい」と話しました。(7月25日)