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中小企業支援・福祉・憲法生きる街へ 名古屋市長選挙4月7日告示

 

 名古屋市長選(4月7日告示、21日投票)が目前に迫っています。現職の河村たかし市長(64)に対し、日本共産党は「名古屋・革新市政の会」の柴田たみお予定候補(48)=元愛知教育大講師=を推薦してたたかっています。ほかに前自民党市議の藤沢忠将氏(43)が立候補を表明。?河村流?の是非が報じられますが、詳細を見ると「市民犠牲・大型開発推進」の自民党型市政の継続か、憲法が生きる「市民が主人公」の市政への転換か―の選択になります。

 連日、宣伝やつどいで精力的に訴える柴田予定候補。22日には中区で開かれた会議で市議会の保育料値上げ問題にふれ「自民党も市長選を意識し、こちら(値上げ反対)の主張に乗ってきた。市民の要求に基づいた活動は市政を動かせると、改めて感じています」と訴え、大きな拍手を受けました。

 

金持ち「減税」

「減税」「庶民革命」といった言葉で誤解されがちですが、河村市長が目指すところは福祉の民営化と新たな大型開発推進の「構造改革」です。

 看板の「減税」については「実感はない」という市民がほとんど。それもそのはず、減税額年間1万円以下が9割、扶養控除対象者や生活保護対象者など「減税ゼロ」が52・4%だからです。一方で50万円以上「減税」された人が109人います。(5%減税による2012年度見込み)

 金持ち優遇の「減税」の財源づくりのために、市職員削減をはじめ、福祉や市民サービスが次々削られました。

 五つの市立病院のうち城西、緑、守山を廃止・民営化し、公立保育園は120園から78園にまで減らす計画を進めています。高齢者、障害者、学童保育への予算を削り、国民健康保険料や介護保険料は大幅に値上げ。敬老パスの見直しも提案されています。
 
一方で、不要不急の大型公共事業は?大好き?の部類です。新たに、リニア新幹線開通を見据えた名古屋駅周辺の大型開発を打ち出しました。ほかに「名古屋城天守閣の木造復元」「SL博物館」など、箱モノ構想は次々浮上します。その上、必要性に乏しい中部空港2本目滑走路建設、「水余り」が明白な徳山ダム導水路など、前市政時代から続く事業への支出はそのままです。

 福祉を削って無駄な事業を進める「庶民革命」とは、形を変えた自民党型政治の継続と言うほかありません。

 加えて、歴史認識に問題があります。昨年2月、南京市の訪問団に「南京事件はなかったんじゃないか」と発言。姉妹友好都市提携を中断させました。憲法9条2項を「こんな恐ろしい条文を持つことが非常に危険」と敵視、改憲志向をあらわにしています。

提案95%賛成

 一方の藤沢氏は、候補者選びに難航した自民党が苦渋の決断で擁立した候補です。「減税」を批判しますが、自民党市議団は、「減税」予算に賛成しており、筋が通りません。

自ら「市長の提案に95%は賛成してきた」と語る通り、政策に大きな違いはありません。「リニア新幹線を起爆剤に街づくり」など大型開発重視は一緒です。また、右翼集団「日本会議名古屋市会議員連盟」の会長で、改憲志向も河村市長と同じ。市長の「南京事件」発言は「断固支持する」と擁護しました。
 
「保育料は4年間上げません」「敬老パスは藤沢が守る」と言いながら、「(敬老パスを)値上げするときは市長自ら説明するのが責任ある態度」とも語っており、どこまで公約を守るつもりなのか不透明です。

 日本共産党市議団が5600人余から集めた市政アンケートによると、生活が「苦しくなった」は6割に及びます。中でも県内一高い介護保険料に怒りが沸騰。「年収の1割近い支払いになる。その他税金を払うと生活費が大変少ない。どうしてこんなに苦しめるのか」(天白区・70代男性)という声が、高齢世帯に共通します。

 学童保育運動に尽力してきた柴田予定候補。合言葉は「子どもを中心に、おとなが笑顔でつながる街づくり」。中小企業支援で若者に仕事を、福祉日本一の名古屋、憲法がいきるまち―の訴えが、じわりと共感を広げています。(3月28日)