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敬老パスは名古屋の宝 存続求める声相次ぐ

 

  河村たかし名古屋市長は、財政難を理由に敬老パス制度の見直しをすすめています。同パスに関する市のアンケート調査(無作為抽出した市民6000人を対象)最終日の23日、同問題をテーマにした学習会が中区で開かれ、参加者から現行制度の存続を求める声が相次ぎました。
 
同パスは、65歳以上の市民が所得に応じて一定の負担(年間1000円、3000円、5000円の3段階)で、地下鉄や市営バスなどに無料で乗車できる制度です。現在30万人余が利用しています(交付率64・2%)。

2011年の名古屋版「事業仕分け」(外部評価)で「見直し」の判定が出されたのを受け、市の検討会(有識者、公募市民らで構成)が昨年11月に議論を開始。市民アンケートの結果を踏まえ、今年10月の社会福祉審議会に検討結果を報告する予定です。

 学習会は、革新市政の会や年金者組合愛知県本部などでつくる実行委員会の主催で80人余が参加。三浦勤(元市交通局職員)、山口清明(日本共産党市議)両氏が講演し、市の担当者が検討状況を説明しました。

 主催者あいさつした徳田秋医師は「わずかな年金で交通費を出すのは大変です。制度を後退させてはなりません」と語りました。

 三浦氏は「交通は人間らしい生活を送るための必須条件であり、憲法にもとづく国民の権利です」と強調。

 山口氏は、同パスの社会的効果として?健康維持、社会参加促進?商店街振興など地域経済の下支え?自動車利用抑制による温暖化防止と交通安全?現行公共交通機関の維持―をあげ、利用促進に向けた制度の充実が必要だと提起しました。

 会場発言では「孫の保育園の送り迎えや家族の見舞いなどに利用している人も少なくない。河村市長は高齢者が若い世代の生活を支えている実態を知ってほしい」「河村市長が主張する名古屋城天守閣の木造再建など、ムダな大型事業こそ見直すべきだ」などの意見が続出。名鉄バスなど民間公共交通への適用を求める要望も出されました。

 伊藤良孝・年金者組合県本部委員長は「広く市民に訴え、?名古屋の宝?を存続させよう」と呼びかけました。

 参加した後藤昌子さん(76)=熱田区=は「病院や地域活動などでほとんど毎日、パスを利用しています。負担が増えるのなら、徒歩でいくしかありません。何としても残してほしい」と語りました。(1月26日)