ニュース

最賃苦体験 最低1000円は必要 愛知で体験報告会

 
 
 愛知県の最低賃金(時給750円)で1カ月間生活した青年らの報告会。「外食できず、映画もダメ」「せめて時給1000円は必要」の声が相次ぎました。
 主催したのは愛知県労働組合総連合(愛労連)。青年ら60人が「最低賃金生活体験」運動(2月)に挑戦しました。最低賃金を月換算して家賃(4万7000円)を引いた月6万2286円が予算枠です。

 24日の報告会までに家計簿を提出したのは36人、10人が予算内に収まりました。
 最小(3万2930円)だった20代女性は家計簿にこう記しました。「外食せず自炊。昼食は家で作った弁当持参。衣服などの買い物はいっさいなし。友だちに遊びに誘われ断るのに困った」。
 2万円を超えた20代男性は「米や野菜は田舎の実家から送ってもらい食費は前月より大幅に減らせた。断れない飲み会が2回ありオーバーした」と書いていました。
 報告会では民間企業に勤める正社員男性(20代独身)は「飲み会は友人のおごり。本は買えず好きなサッカー観戦はあきらめた」と報告。民間企業の女性(20代独身)は「職場と家の往復だけ。外回りの営業で靴がすり減っても買えない。彼氏との交際費もでない。結婚も無理」といい、30代既婚の女性は「美容院で髪を染めると高いので家族に手伝ってもらった。家族で遊びにも行けない。3週間で予算をオーバー。既婚者は無理」と断言しました。学童保育の指導員の男性(20代独身)は「名古屋市の補助削減などで給与は最賃より少し多い程度。いつもと変わらなかった。まともな生活が出来るような給与にしてほしい」と訴えました。

 参加者で討論しました「10人を目標に募ったが、『あんな酷い生活は二度としたくない』と断られ、応募したのは2人だけ」、「1カ月だから我慢して生活したが、これでは憲法に保障された文化的生活はできない」、「非正規労働者の低賃金が正社員の給与削減の口実になっている。労働者全体の労働条件改善にためにも最賃引き上げは必要」などの意見が出されました。
 「生活体験」と同時に行った「家計簿チェック」運動には、組合員80人が参加しました。「初めて家計簿をつけた。食費、光熱費、保険料の割合が高いのに驚いた」(30代男性)、「給与21万円。税金など引くと17万円。1人暮らしで家賃・光熱費など住居費の負担が重い。貯金ができない」(20代女性)などの感想が寄せられていました。

 吉良多喜夫・愛労事務局長は「格差と貧困の拡大が一段とすすみ、非正規労働者の大半は年収200万円以下のいわゆるワーキングプア。最低賃金の引き上げは切実。職場で最賃を話題にし、署名や宣伝を取り組もう」とよびかけました。(4月28日)