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ワクチン接種無料へ 愛知・半数以上の自治体で

子ども向け3ワクチン(子宮頸〈けい〉がん、ヒブ、肺炎球菌)の無料接種について、愛知県の57自治体中、30自治体で今年度中の実施を検討していることがこのほど、県の発表で分かりました。早い自治体では来年1月から、1回数千~1万数千円かかっている自己負担が無料になります。
 国が自治体に対し接種費用の2分の1を補助する措置に伴うもの。費用は都道府県が設置する基金に積み立てられ、補正予算で必要な経費を組んだ自治体に交付します。実施期間は2年で、国は今年度中に半数の自治体、来年度は全自治体が無料化を実施すると見積もっています。
 愛知県は基金として66億5千万円余、今年度の助成金として8億円余を16日に可決した補正予算に盛り込みました。対象人数は、子宮頸がんワクチン(中1~高1女子)が約14万人、ヒブ・肺炎球菌ワクチン(ゼロ~4歳)は約35万4千人です。

 今年度に実施する自治体は次の通り。(※11月30日時点。その後、碧南市が実施表明)
 名古屋市、豊橋市、津島市、刈谷市、安城市、犬山市、江南市、小牧市、知立市、高浜市、岩倉市、田原市、愛西市、弥富市、あま市、長久手町、大口町、扶桑町、大治町、蟹江町、飛島村
▽子宮頸がんのみ
 東海市、設楽町
▽ヒブ、肺炎球菌のみ
 豊明市、日進市
▽実施の方向で検討中
 半田市、大府市、知多市、尾張旭市
(2010年12月19日)

【解説】

 子ども向けワクチンへの助成が実施されるのは、日本共産党や新日本婦人の会をはじめ女性たちの運動が実ったものだといえます。
 乳幼児は、ヒブ(インフルエンザ菌b類)や肺炎球菌に感染しやすく、感染すると肺炎や髄膜(ずいまく)炎を引き起こし、命の危険さえあります。この二つの病原菌と、子宮頸がんはワクチン接種をすれば高確率で予防できます。
 しかしワクチンは高額です。愛知県の新婦人の各支部には「ヒブワクチンは生後2カ月から4回接種が必要。ワクチンの数も足りないからまたされ、しかも1回7千円もかかる」(小牧市)、「子宮頸がんワクチンは3回接種で4万5千円。安心して安く受けられるようにしてほしい」(名古屋市)などの声が寄せられていました。
 新婦人は2009年から無料化を求める署名などを集め、各自治体に要請してきました。小牧支部では、1人のお母さんのつぶやきから、地域で「髄膜炎とワクチン」について学習。ことし6月の「子どもデー」に街頭宣伝し、ヒブワクチンの助成を求める署名は2400人分を集めました。子宮頸がん予防ワクチンへの助成を求めた団体請願は37団体分に上りました。
 一方、課題も残ります。助成へ踏み出した自治体とそうでない自治体とで、格差が生じています。また、基金は来年度までの2年間です。新婦人愛知県本部の石谷由子さんは「すべての自治体で安心してワクチンを接種できるよう、そして恒久的な制度にするため、今後も運動を広げていきたい」と話しています。