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【06.09.03】名駅再開発 大企業に異常支援 トヨタビルに血税18億円 

 名古屋駅周辺は高層ビルの建設ラッシュです。JRセントラルタワーズ(51階建、245メートル)を抜いて中部地方一の高さになるミッドランドスクエア(新豊田ビル)のオフイス棟は10月に完成予定。トヨタ自動車海外部門などが入居します。名古屋の松原市政は財政難を理由に、市民には削減や負担増をおしつける福祉予算。一方で、大企業の高層ビル建設を手厚く支援しています。名古屋駅周辺などの「都市再生」事業を検証しました。

大企業に大きなメリット

 2002年6月に都市再開発特別措置法が成立すると、翌月には新豊田ビル建設を目玉とする名古屋駅前地域が都市再生緊急整備地域に指定されました。

 指定をうけると予算が優遇措置され、許認可や建設容積率の規制が緩和されます。金融支援手続きの合理化、迅速化も図られ、税制上の優遇措置もあります。高層ビルをつくり、ここに進出する大企業には破格のメリットがあります。

 名古屋市は、名古屋駅周辺を「国際ビジネスの一大拠点の形成」の中心と位置づけ、ポスト万博事業として、「都市再生」の名で駅前再開発を本格化させています。

 トヨタ自動車の幹部が、名古屋市の「産業活性化プラン」策定に参画しています。

ビルに巨額の補助金

 名古屋市は小泉内閣が推進した「都市再生」政策に真っ先に名乗りをあげ大企業ビルに手厚い補助金を出し開発を推し進めています。

 ミッドランドスクエアは、トヨタ自動車の海外営業部門が入居し、同社の海外展開の司令塔となります。国、県、名古屋市は、同ビル(総事業費840億円)に18億円余の補助を出しています。

 名鉄や中部電力など大企業が牛島地区市街地再開発として建設している名古屋ルーセントタワー(総事業費603億円)への補助金は37億を超えます。

 笹島交差点の北東にあった名古屋三井ビルは取り崩され、7月からモード学園と三井不動産によって新ビル(スパイラルタワーズ)の建設が始まりました。

 この事業には、06年までに国・県・市、合計で5億円の補助金が出ています。今後、建設が進むにつれ、補助金額はさらに増える見込みです。老朽化して建替える名古屋ビルデイングにも補助する予定です。

大型店進出で商店街苦境に

 「都市再生」事業は、栄や千種・鶴舞でもおこなわれています。これらの地域でも名古屋駅周辺と同様に大企業に手厚い補助がなされています。

 国、県、市は松阪屋などが施行者の「栄3丁目30番地地区優良建築物整備事業」にはこれまでに5億円以上、三越南の「栄3丁目6番第1種市街地再開発事業」には、52億円の補助金を投じ「再開発」事業をすすめています。さらに栄小公園の一角を利用した開発、名古屋市教育館の改築など栄地域の再開発計画が目白押しです。

 千種・鶴舞地域では民間市街地開発事業として31億円以上を補助し、旧サッポロビール跡地にイオンによる24時間営業の大型ショッピングセンターがオープン。地域の商店街を苦境に追い込んでいます。

住民主体のまちづくりを

 革新県政の会は先日、税金ムダづかいの「県政ウオッチング」の一環として名古屋駅前の緊急整備地域を視察しました。

 参加者らは「巨大ビルの建設現場に立って、市民の悲鳴を聞くような思いでした。住民主体の街づくりの必要性を痛感しました」「世界屈指の大もうけをしているトヨタのビルになぜ血税を入れなければならんのか。大企業は自分のビルくらい『自立自助』でつくってほしい」と感想を述べていました。