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【06.05.14】愛知に広がる生活難と格差 自立の展望見えない若者 背景に、企業の人件費削減・使い捨て政策

5月14日「愛知民報」

深刻な若年失業

 若者の失業と劣悪な労働条件は、現在と将来の経済的格差拡大につながる重大問題です。愛知県がまとめた2005年の県内就業状況によると、年間平均の完全失業者数は13万2000人(完全失業率3・4%)。全国平均の4・4%に比べ低いとはいえ、瀬戸市や豊川市の人口に匹敵する完全失業者がいることになります。
 なかでも、若年層が深刻。完全失業率は15~24歳5・7%、25~34歳4・3%となっています。

半数が非正規雇用

 若者の場合、就労していても半数は非正規雇用です。総務省が発表した労働力調査詳報結果によると、2001年の非正規雇用24・5%で、労働者全体と若年層(15歳~24歳)は同じ割合でした。しかし02年以降になると、若年層の非正規雇用が年々増大し、04年には33%を超えました。

 労働基準法や派遣業法など労働法制の改悪が非正規雇用の拡大を加速させています。特にトヨタ自動車など大企業で非正規雇用拡大の傾向が強く表れています。

 愛知県争議団連絡会議の黒島英和議長は「『愛知の雇用はいい』といわれますが、正社員は増えず期間従業員など短期雇用が急増しています。職場労働者の半分以上が派遣というところもあります。これらの職場で労働者は、残業しても割増分が払われない、サービス残業の押し付け、有給休暇もとれない、社会保険も未加入などの無法行為にさらされています。マスコミのいう『元気な愛知』と実態にギャップを感じます」と話しています。

急増する休学

 大学生の生活状況も悪化しています。愛知県立の3大学(県立大学、芸術大学、看護大学)では、生活難から学業の中断を余儀なくされる休学者が急増しています。

 98年度以後の3大学の退学者と休学者の推移を見ると、退学者数はこの8年間で468人に達しています。休学者は急増し、98年度に170人だったのが04年度に307人に増え過去最高になりました。98年度の178人であった授業料減免者は、昨年度456人と2・6倍に増え、高い授業料が学生とその家族に大きな負担となっていることをうかがわせます。

 家庭の収入減少によって奨学金を受給する学生が急増しています。日本学生支援機構がおこなった学生生活調査(04年度)によると、4年制大学(昼間部)では前回調査(02年度)31・2%から今回41・1%となっています。大学生の家庭の年間平均収入は約842万円で、96年度の約972万円をピークに減少を続けています。500万円未満の家庭は、96年度15・4%から今回23・8%に増えました。

雇用・労働条件改善へ運動広がる

 日本共産党愛知県委員会と日本民主青年同盟愛知県委員会は、工業・商業高校生の就職実態調査や若者への就職アンケート、街頭対話で雇用・労働条件改善への要望をまとめ、愛知県知事や県教育委員会に申し入れをおこないました。県知事には、県内の企業に対し不安定雇用への置き換えをあらため、若い世代が自立できるような安定雇用を確保するよう働きかけをおこなうことなどを求めています。

 日本共産党名古屋南西地区委員会の青年支部は、同党の八田ひろ子前参院議員とともに「街頭労働相談」やワンルームマンションへの訪問活動をおこない、「青年の深刻な労働実態を青年の手で改善しよう」と取り組んでいます。

 同地区委員会は「青年雇用サポート室」を設け、若者雇用問題の学習集会を開くとともに若者向けの雇用・労働問題緊急アンケートチラシを3万枚作成し、若者に渡す取り組みをすすめています。サポート室にはアンケートの回答が郵送されてきています。