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【06.04.02】名古屋港の軍事利用やめよ 米艦、海自艦の入港相次ぐ 

4月2日「愛知民報」

米軍の先制攻撃戦略に自衛隊を組み込む日米の2プラス2(日米安全保障協議委員会)の合意を背景に、愛知県内でも県営名古屋空港や名古屋港の軍事利用が広がっています。

 入港した自衛艦(左から)あまぎり、かしま、やまぎり
名古屋港にまたも軍艦が

 海上自衛隊の練習艦かしま(4050トン)、練習艦やまぎり(3500トン)、護衛艦あまぎり(3500トン)の3艦が3月26日午前、名古屋港に入港しました。

 同艦艇は海上自衛隊幹部候補生学校のある広島県江田島(旧海軍兵学校跡地)を出港し大阪港を経て名古屋港に入港。入港目的は幹部候補生の近海練習航海といいますが、練習艦かしまは、62口径76ミリ単装速射砲や短魚雷3連装発射管を装備するなど、護衛艦と同等の兵器を持つ軍艦です。

 名古屋港は総取扱貨物量全国1位の商業港(貿易港)です。商業港に戦争道具の軍艦の入港は必要ありません。

松原市政で入港が急増

 「憲法をくらしに生かす」をかかげた革新市政時代(1985年3月まで)は米軍、海上自衛隊の艦艇ともに名古屋入港はゼロでした。

 革新市政がくずされ、自民党中心の西尾市政(85年4月)になると87年7月に海上自衛隊の護衛艦が入港。同市政時代は数年に1回くらいの割で海上自衛隊の艦艇が入港していました。

 つづく松原市政(97年4月)のもとで、アメリカ艦艇をはじめ軍艦の入港が急増。98年8月に核ミサイル搭載可能な米海軍巡洋艦モービル・ベイ(9600トン)が米軍艦としては21年ぶりに名古屋港に入港し沖合で停泊。2001年8月には米海軍ミサイルフルゲート艦ゲアリー(4100トン)が入港しガーデン埠頭に接岸。米軍艦が入港して接岸するのは23年ぶりでした。海上自衛隊の艦艇は2000年以降、毎年入港(表)しています。
 名古屋市や名古屋港管理組合は今年1月、米第7艦隊旗艦ブルーリッジ(18372トン)の入港を認めました。しかし、米軍が入港を希望した室蘭港(北海道)では室蘭市と北海道が入港反対の意思を示し入港できませんでした。名古屋港でも入港ノーの意思表示をする市政が求められます。

     軍艦の入港状況

    年 自衛艦  外国艦 
 2000  1  0
 2001  3  2
 2002  4  0
 2003  6  0
 2004  2  1
 2005 14  3
 2006(3月まで)  3  1

 入港反対を訴える(左から)山口きよあき名古屋市議、かのう恵美子港区県議予定候補の両氏=3月26日、名古屋港
抗議行動や入港拒否を申し入れ

 平和と憲法を守る港区連絡会は、今回の海自艦入港に抗議し、地下鉄名古屋港前で「平和な港に軍艦はいらない」と書いた横断幕をかかげ、名古屋港を訪れた人に自衛艦入港反対のビラを配布しました。同連絡会の田中洋行代表や日本共産党の山口きよあき名古屋市議、かのう恵美子県議候補らがマイクを握り「名古屋港の軍事利用やめよ」と訴えました。

 小学生の子どもと名古屋イタリア村に遊びにきた藤原佐知代さん(37)は「楽しいテーマパークの前に大砲を持つ軍艦が停泊しているのは怖いですね。入港をやめてほしい」と話していました。

 自衛艦の入港に先立ち3月24日、平和と憲法を守る港区連絡会、日本共産党名古屋市議団(村瀬たつじ団長)はそれぞれ、名古屋港管理組合(管理者・松原武久名古屋市長)に「商業港であり市民の憩いの場の港に軍艦入港はふさわしくない」と自衛艦の入港を拒否するよう申し入れました。

岸壁が立ち入り禁止に

 名古屋港の軍事化は軍艦の入港だけではありません。米国の同時多発テロ事件を契機に04年のソーラス条約(海上人命安全条約)が改定され港湾施設の保安対策が強化されました。これは米国が自国の船舶の「安全」のためと称して世界各国に押し付けたものです。

 条約改定にともなって名古屋港の岸壁にはフェンスが張りめぐらされ、立ち入り制限や監視カメラの設置など港の状況は一変しました。シーバース釣りの盛んだった金城埠頭は釣り人が立ち入ることが出来なくなりました。