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【06.02.26】ゆきづまる開発県政 2006年度愛知県予算案 県財政から見れば… 万博“大赤字”

2月26日「愛知民報」

 万博開催・新空港開港で「元気」といわれる愛知県の2006年度予算案が15日発表されました。

06年度愛知県予算案の規模(単位・千円)


 

 会計名  予算規模  伸び率(%) 
 一般会計 2,213,070,000 103.0
 特別会計    601,067,574  116.2
 企業会計   182,190,808 115.4
 合計 2,996,328,382  106.2

【借金漬け】

バブル崩壊後の財政悪化のなか、借金頼みで万博・空港の2大事業を推進した愛知県の財政は火の車。県債残高は一般会計の06年度末見込みで3兆8344億円。予算規模の1.8倍にふくれあがり、利子払いだけで毎日1億8千万円が消えます。

 万博運営費は数10億円の黒字といわれますが、万博会場建設費と交通アクセス整備だけで約2千億円を支出した愛知県の負担を勘定に入れると、万博は“大赤字”イベントになります。

 県が20日に発表した「財政中期試算」は、国の「三位一体改革」の影響もあって万博後、県財政はさらに悪化。2010年度末の県債残高は4兆円の大台に乗ると見ています。

【企業減税・庶民増税】

予算案の規模は05年度比0.3%増の2兆2130億円。トヨタ自動車の3年連続1兆円純利益を筆頭にバブル期を上回る企業収益があるにもかかわらず、法人県民税・法人事業税の税収は90年度を100とすると06年度は75にダウン。企業減税で、かつてのように県税収入は増えません。

 一方、個人県民税は、11.7%の伸び。雇用者報酬は減少していますが、定率減税の半減など増税策で増収に。県民の税負担が重くなっています。

【生活援助削減】

県の遺児手当の予算は7億6864万円も減額されました。支給を5年間で打ち切る改悪が実施されるからです。

 県は、乳幼児医療費無料化の対象年齢拡大や介護保険の低所得者負担軽減措置を拒否しています。

 民間木造住宅耐震診断補助は、急がれているのに、今年度の3万6000戸から来年度は半分の1万8000戸に減らします。耐震改修費補助は「倒壊する可能性が高い」から「倒壊する可能性がある」に補助要件をゆるめますが、補助対象戸数は年間2000戸、補助額も今年度並みの30万円とどめます。

【大企業支援・開発推進】

一方、大企業は手厚く支援します。高度先端産業立地促進補助金11億7253万円が豊田自動織機、和光純薬工業、三菱重工、富士重工、オムロン5社に投じられます。新型機B787の主翼を製造する三菱重工への補助金は4年分割で計10億円の補助金です。

 道路整備には1104億円を計上しています。第2東名、名古屋環状2号線、名古屋高速道路など高速道路・自動車専用道路の整備が中心です。

 将来の水需要低下が必至なのに設楽ダムや徳山ダムの建設を推進します。

 不要不急の大型開発や行き過ぎた大企業支援を見直し、生活重視・財政再建へカジの切り換えが求められます。

【戦争態勢】

武力攻撃時の住民避難の名で、戦時体制づくりを図る愛知県国民保護計画にもとづき避難マニュアルの作成や説明会開催などの予算が盛り込まれています。

 防災関係予算に、放射性物質、生物剤、化学剤を使ったテロ攻撃にも対処する特殊災害救助活動推進事業費600万円が計上されています。

【建築確認】

耐震強度偽装を見逃した県の行政責任が問われています。06年度予算案には、職員研修、相談窓口の拡充、指定確認機関の指導監督強化、構造計算の専門家に委託する構造計算検証チーム設置の予算が盛り込まれています。しかし、体制強化に必要な職員増員はありません。

【道州制・市町村合併】

市町村合併や道州制の推進に約23億円を計上。宝飯郡各町、春日町、東栄町、飛島村など小規模自治体への合併の押し付けを強めようとしています。